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2008年11月

「税賠」と税務訴訟

次のようなご質問をいただきました。

(ご質問)

「簡易課税方式をとれば原則課税方式を選択するよりも
税額が少なくて済むのに、原則課税にしていた場合、その
差額税額について賠償をもとめることはできますか?」

これは,消費税の申告について選択制が採られているため,

納める税額について,有利な制度を採ることを失念した場合に

実は,よくある「税賠」の事例です。

「税賠」というのは,

税理士の先生が依頼者から損害賠償請求を受けるもの。

税理士損害賠償請求の略称(通称)です。

このブログが扱っているのは,国に対する税務訴訟です。

ただ,税に関する訴訟という意味では,税賠事案も,

当事務所では多く取り扱っています。

税賠事案は,保険もあるため,保険会社も入り,

「依頼者」,「税理士」,「保険会社」の三者で訴訟になる。

ということも多いです。

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税務訴訟で気をつけていること

(ご質問)

税務訴訟に関して通常の訴訟と違い,

気をつけていることはありますか?

今回は,①「税務訴訟と通常の訴訟の訴訟との違い」をふまえ,

②「税務訴訟で気をつけていること」をお答えします。

前々回に挙げた税務訴訟の特徴ごとに分析します。

・被告が国である。

⇒通常の民事訴訟以上に膨大な時間とエネルギーを投入する。

・そのため,地方の事件でも東京地裁で提訴することができる。

⇒提訴する際は,どの裁判所に提訴するかを検討する。

・行政事件訴訟法が適用され,手続が厳格。

⇒手続について抜かりがないか気をつける。

・不服申立て前置主義があり,いきなり提訴はできない。

⇒不服申立て手続である審査請求等で取消しをねらうのか,

 訴訟で取消しをねらうのか戦略を練る。

次に,事実上(実務上)の特徴です。

・和解がない(原則)。

⇒裁判所に課税処分の取消し判決を書いていただくために

 徹底した主張と説得力ある証拠を提出する。

・最高裁までいく案件が多い

(地裁で勝訴しても国に控訴されることが多い)。

⇒最高裁で勝訴することを最大の目標にする。

 地裁での結果にこだわらない。

・国側にかなりの証拠が収集されている。

⇒徹底して証拠を収集する。

・納税者側に,補佐人として税理士がつくことが多い。

⇒租税のプロである税理士の先生とのチームワーク。

・法解釈を争う事案が多い。

⇒過去の判例を徹底してリサーチする。

・(直接の)先例がないことが多い。

⇒類似判例をリサーチする。

 裁判官の立場になって判決を考える(予想する)。

などです。

こうした地道な作業を継続して続けていくことになります。

けれど,その作業は楽しいものであり,苦痛はありません。

勝訴すべき事案であることが明確であり,

獲得目標に向かって一歩,一歩進むだけだからです。

ただ,上記のとおり,

税務訴訟は通常の民事訴訟と異なる部分も多いです。

税務訴訟ないし不服申立てを検討される方は,

税務訴訟の経験が豊富で専門性の高い法律事務所に

相談されることが重要です。

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裁決で取消し

嬉しいご報告がありました。

審査請求の事案で「裁決」がでて,取り消されたとのこと。

「審査請求」というのは,

税務訴訟を提起する前に経る必要がある不服申立て手続です。

国税不服審判所という行政機関で審査をしてもらいます。

訴訟の「判決」と違う点は,次の2つです。

①送達は(代理人ではなく)当事者ご本人にされる。

②納税者側が勝った部分については確定する。

この件も依頼者の方から電話でご連絡をいただきました。

担当者としては,非常に嬉しいものです。

②の違いは大きいです。

訴訟段階では,地裁で勝訴しても国から控訴されます。

控訴されると控訴審で判決が覆される可能性があります。

地裁で勝っても「確定」しないのです。

これに対して,裁決の場合は,国が争うことはできません。

裁決で取り消された課税処分は,それで確定するのです。

ご報告でした。

小百合先生よかったですねー☆

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税務訴訟と通常の訴訟の違いは何か?

前回ご紹介しましたご質問について,お答えします。

ご質問は,次のものでした。

税務訴訟に関して通常の訴訟と違い,

気をつけていることはありますか?

今回は,①「税務訴訟と通常の訴訟の違い」をお答えします。

なお,ここでいう「通常の訴訟」は「民事訴訟」とします。

税務訴訟も,広い意味では「民事訴訟」の1つです。

税務訴訟は,国を被告にする「行政訴訟」です。

「行政訴訟」も,広い意味では「民事訴訟」の1つです。

この点は,以前にお話しました。

さて,広い意味では「民事訴訟」の1つといえる次のの2つ。

「税務訴訟」と「通常の民事訴訟」。

どこが違うのでしょうか?

大きな違いとしては次の点になります。

以下,税務訴訟の主要な特徴を挙げます。

まずは,法律上(制度上)の特徴です。

・被告が国である。

・そのため,地方の事件でも東京地裁で提訴することができる。

・行政事件訴訟法が適用され,手続が厳格。

・不服申立て前置主義があり,いきなり提訴はできない。

次に,事実上(実務上)の特徴です。

・和解がない(原則)。

・最高裁までいく案件が多い

(地裁で勝訴しても国に控訴されることが多い)。

・国側にかなりの証拠が収集されている。

・納税者側に,補佐人として税理士がつくことが多い。

・法解釈を争う事案が多い。

・(直接の)先例がないことが多い。

などです。

次回は,こうした特徴を前提に分析を進めます。

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