« 著作紹介 | トップページ | 税務訴訟が増加した背景(その2) »

税務訴訟が増加した背景

前回の記事で触れた「税務訴訟が増加した背景」について,

分析してみたいと思います。

「税務訴訟が増加した背景」としては,

次の4つを挙げられると思います。

① 国側の強引な課税処分が多くなってきた

② 勝訴率が高くなってきた

③ (企業の場合)株主代表訴訟のリスク

④ 納得行かないものは司法で決着をつけるという意識の萌芽

今回は,このうち①についてお話しようと思います。

強引な課税処分が近年増えているように思います。

租税法律主義という憲法の大原則からすれば,

課税要件は法律で明確に定められなければなりません。

ある税法の規定の条文の文言を素直に読んだときに,

この事実には課税できるといえるものでなければならない。

これが本来的なあり方です。

その条文の文言からは,

その事実に課税することが困難であるけれど,

課税する必要がある場合には,法律の改正が必要です。

これを「立法論」といいます。

「立法論」で解決すべきものを,法改正はしないままに,

法解釈というかたちで処理する。

「解釈論」で対応しようとする。

これが最近多くみられる課税処分の特徴です。

もちろん,法律の条文には立法趣旨がありますから,

その立法趣旨や条文の文言から想定される範囲内で,

法解釈をすることは可能です。

けれど,こうした立法趣旨や文言から離れて,

課税するために解釈で要件を拡大してしまうこと。

それは「許されない拡大解釈」であり,違法です。

ここ最近の税務訴訟では,

こうした理由で処分が取り消される事案が増えています。

たとえば,レポ取引(金融取引)に関する税務訴訟がありました。

この事例では,課税庁が敗訴しました。

最高裁でも,課税処分が違法とされ,確定した事案です。

この事件で,東京高裁は次のように判示しています。

「(所得税法161条6号)の『貸付金(これに準ずるものを含む。)』の『利子』…について,専ら経済的な効果に着目して『貸付金』の解釈の範囲を広げ,『これに準ずるものを含む。』との規定と相まってその外延を不明確にする結果をもたらすことは,租税法律主義の内容である租税要件明確主義に沿った解釈ということはできず,租税要件明確主義に反した解釈とならないためには,外延を不明確にすることのない解釈を行うべきであ(る)」

「許されない拡大解釈」と思われる課税処分が増えています。

それが,税務訴訟増加の原因の1つと考えられます。

次回は,②「勝訴率が高くなった」についてお話します。

|

« 著作紹介 | トップページ | 税務訴訟が増加した背景(その2) »