税務訴訟をする場合,追徴された税金の納付はしなくてよいのか?
(ご質問)
税務調査があり更正処分を受けることになりそうです。
当社は法的に納得の行かない処分なので争う予定です。
更正によって追徴される税額は納めなくてよいですか?
(ご回答)
課税処分に不服がある場合,これを争うことができます。
①異議申立て→②不服申立て→③訴訟
原則としてこの3つを経由することになります。
このとき,更正決定で示された税額は納付なくてよいか?
というご質問を受けることがよくあります。
とても重要な点です。「納付」は必ずしてください。
税務訴訟で争っている企業のほとんどは,納付をしています。
追徴税額についていったん納付をしたうえで,争っています。
そして,判決で勝訴し(課税処分が取り消され),確定すると,
納付していた税額に還付加算金もついて,返還がされます。
納付せずに争った場合,勝訴しても還付加算金はつきません。
敗訴が確定した場合,膨大な延滞税を払う必要がでてきます。
処分を受けてから判決が確定するまで,時間を要しますが,
追徴税額について納付をしていないと,延滞税が発生します。
この延滞税をストップさせるためにも,納付が必要です。
以上の実情は,行政事件訴訟法のある原則と関係します。
それは「執行不停止の原則」というものです。
行政事件訴訟法25条1項に,次にように書かれています。
「処分の取消しの訴えの提起は,処分の効力,処分の執行
又は手続の続行を妨げない。」
訴訟を提起して争っただけでは,
徴収手続などを停止させることはできないのです。
誤解されている方が多い点ですので,注意が必要です。
税務訴訟をする場合でも,必ず納税はしてください。
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