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2009年2月

税務訴訟をする場合,追徴された税金の納付はしなくてよいのか?

(ご質問)

税務調査があり更正処分を受けることになりそうです。

当社は法的に納得の行かない処分なので争う予定です。

更正によって追徴される税額は納めなくてよいですか?

(ご回答)

課税処分に不服がある場合,これを争うことができます。

①異議申立て→②不服申立て→③訴訟

原則としてこの3つを経由することになります。

このとき,更正決定で示された税額は納付なくてよいか?

というご質問を受けることがよくあります。

とても重要な点です。「納付」は必ずしてください。

税務訴訟で争っている企業のほとんどは,納付をしています。

追徴税額についていったん納付をしたうえで,争っています。

そして,判決で勝訴し(課税処分が取り消され),確定すると,

納付していた税額に還付加算金もついて,返還がされます。

納付せずに争った場合,勝訴しても還付加算金はつきません。

敗訴が確定した場合,膨大な延滞税を払う必要がでてきます。

処分を受けてから判決が確定するまで,時間を要しますが,

追徴税額について納付をしていないと,延滞税が発生します。

この延滞税をストップさせるためにも,納付が必要です。

以上の実情は,行政事件訴訟法のある原則と関係します。

それは「執行不停止の原則」というものです。

行政事件訴訟法25条1項に,次にように書かれています。

「処分の取消しの訴えの提起は,処分の効力,処分の執行

又は手続の続行を妨げない。」

訴訟を提起して争っただけでは,

徴収手続などを停止させることはできないのです。

誤解されている方が多い点ですので,注意が必要です。

税務訴訟をする場合でも,必ず納税はしてください。

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裁決の取消しを求めることはできるか?

(ご質問)

更正処分を受け審査請求で争いましたが,

国税不服審判所から棄却の裁決がでました。

提訴する場合棄却した裁決の取消しを求めればよいのですか?

(ご回答)

行政事件訴訟法には,次の取消訴訟が規定されています。

①「処分の取消しの訴え」(同法3条2項)

②「裁決の取消しの訴え」(同法3条3項)

これだけみると,本件では①と②のいずれもできそうです。

更正処分の取消訴訟(①)と裁決の取消訴訟(②)の2つです。

しかし,結論としては②はできません。

「裁決の取消しの訴え」は,裁決に固有の瑕疵がある場合だけ,

提訴ができるとされているからです。

行政事件訴訟法10条2項に定めがあります。

裁決に固有の瑕疵がある場合でない限り,

つまり課税処分の違法性のみを争うのであれば,

①「処分の取消しの訴え」のみをすることになります。

裁決に固有の瑕疵(違法性)があることはまれですので,

通常は,②「裁決の取消しの訴え」は利用されません。

このように,元の処分の取消しを求めるのが原則。

これを,講学上「原処分中心主義」と呼んでいます。

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執行役員が執行役に就任する際に支給された退職金は,退職所得に該当するか?

(ご質問)

当社は委員会設置会社です。

執行役員(雇用契約)を退任した者に退職金を支給しました。

執行役員を退任した後は,執行役に就任しています。

この退職金は「退職所得」に該当するでしょうか?

(ご回答)

所得税法30条には「退職所得」を定めた規定があります。

①「退職により一時に受ける給与」あるいは

②「これらの性質を有する給与」にあたれば退職所得です。

役員に支給する給与は通常「給与所得」ですが,

退職所得に該当すると税額が低くなります。

所得税法で,課税対象額が2分の1になっているからです。

ご質問のようなケースについて,昨年,判決が出ています。

大阪地裁平成20年2月29日判決,

その控訴審である大阪高裁平成20年9月10日判決です。

いずれも退職所得であるという納税者の主張が認容されました。

その主たる理由は,従業員から役員になることで,

法律上の地位や責任ががらっと変わるからというものです。

こうした問題は,次のようなケースでも問題になってきます。

①代表取締役→監査役

②従業員→執行役員

③執行役員→取締役

などなど。

この→の際に支払われた一時金が「退職所得」に該当するか。

最近では通達がある程度整備されてきました。

とはいえ,法律上は上記所得税法30条の定めのみです。

そこで,退職所得に該当するかをめぐる争いが増えています。

①について,東京地裁平成20年6月27日判決などがあります。

主たるポイントは,職務上の地位が変動しているかですが,

事例ごとに様々ですので,個別に検討をする必要があります。

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最高裁の審理はどれくらいかかるのか?

(ご質問)

税務訴訟が最高裁に係属しています。

上告をしたのが1年半前なのですが,音沙汰ありません。

いつごろ判決が出るのでしょうか?

(ご回答)

最高裁の特徴は,書面主義が原則だという点です。

民事訴訟は「口頭弁論の原則」というルールがあります。

実際には準備書面という形で書面主義が多いものの,

口頭弁論期日を開くという意味で,上記原則は一貫しています。

これを「必要的口頭弁論の原則」と呼びます。

行政訴訟も民事訴訟のルールを準用しています。

したがって,高裁までは,口頭弁論が開かれます。

ところが,最高裁では書面主義が原則になっています。

口頭弁論期日を開かない方が原則なのです。

また,上告をした後,いつ期日が開かれるのか,

いつ判決が言渡されるのかなどのスケジュール感は,

当事者にも伝えてもらえません。

判決言渡期日が決まると,1週間前などに通知がきます。

判決は「期日」が指定されますが,決定は書面のみです。

上告不受理決定や上告棄却決定は,期日も開かれません。

決定書がある日突然,郵送されてきて終わりです。

例外的に原判決(高裁判決)を逆転させる場合には,

最高裁でも口頭弁論期日が開かれます。

この場合でも,期日指定の通知がくるまで時間がかかります。

こうした特殊性があるため,上告した後は,忘れたころに,

最高裁から通知が来ることになります。

近年の税務訴訟をみていますと,早いものでは半年くらい,

遅いものですと2年半以上かかるものもあるようです。

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税務訴訟で最高裁に上告したい

(ご質問)

税務訴訟で最高裁に上告する予定です。

上告をする際に注意すべきことはありますか?

(ご回答)

上告は控訴と違い,注意すべきポイントがいくつかあります。

地裁で敗訴した場合の控訴については,前にお話しました。

今回のご質問は,高裁(控訴審)で敗訴した場合の対応です。

手続としては,控訴と同様に14日以内にする必要があります。

高裁の判決を受領した日の翌日から14日以内です。

この14日以内に提出する書面は,次の二つです。

①上告状

②上告受理申立書

①上告は,憲法違反や判例違反を主張する場合。

②上告受理申立ては,法令違反で重要なもの,

あるいは下級審の判例と異なる判断がある場合。

したがって,憲法違反や判例違反がない場合には,

①の上告はせず,②上告受理申立てだけする。

こういう方法もあります。

なお,①と②は1通で兼ねることができます。

これを「上告状兼上告受理申立書」といいます。

以上の書面を14日以内に提出したあとに,

本格的な理由書を出すことになります。

控訴と同じ50日以内ですが,違う点があります。

1つは,起算日。起算日は次の日からになります。

①上告提起通知書の送達日の翌日

②上告受理申立通知書の送達の翌日。

ここで気をつけなければならないのが,期限徒過です。

控訴理由書は50日後に出しても,審理がされます。

ところが,上告の場合は期限徒過をすると却下されます。

却下されてしまうと,内容について審理してもらえません。

上告する際には,期限に注意してください。

なお,上告審では証拠の提出はできません。

上告審は法律審であり,事実審ではないからです。

下級審(地裁及び高裁)で事実審がなされます。

最高裁では,高裁判決で認定された事実が適法で

あることを前提に審理をするのが原則です。

事実認定の証拠は高裁までに出し切ることです。

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経理担当者と税務訴訟

税務訴訟になると,「~しておけばよかった」となります。

「~」には,次のような言葉が入ります。

・契約書をきちんと作成しておけばよかった。

・契約書の条項を明確に定めておけばよかった。

・役員規程をきちんと制定しておけばよかった。

・役員規程の条項を明確に定めておけばよかった。

後悔が起きるのは,税務訴訟が「証拠」の勝負だからです。

以上の「~」は,企業ですと法務・総務・人事プロパーです。

これに対して,次のような「~」もあります。

・経理処理を~にしておけばよかった。

・支払伝票を~できっておけばよかった。

まさか税務訴訟で「法的評価」がされるとは思いません。

ところが税務訴訟では,あらゆるものが証拠になります。

会社が主張する内容と矛盾するような経理処理がある。

これは不利な証拠として使われてしまいます。

いっけん関係のないような経理部門でも,

法務・税務のチェックが必要になるゆえんです。

税務訴訟を意識すると,「証拠になる」という視点で

チェックができるようになり,企業にとって大変有益です。

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加算税にもいろいろある?

(ご質問)

役員給与が過大であるとして納税告知処分を受けました。

ほかにも不納付加算税の賦課決定処分も受けました。

不納付加算税は過少申告加算税と違うのでしょうか?

(ご回答)

加算税には4種類あります。

①過少申告加算税(国税通則法65条)

②無申告加算税(同法66条)

③不納付加算税(同法67条)

④重加算税(同法68条)

このうち①~③は,本税の処分によって異なるものです。

①過少申告加算税は,

確定申告をしたけれど申告した税額が少なかった場合。

②無申告加算税は,

確定申告をしていなかった場合です。

③不納付加算税は,

源泉徴収義務を負う者が期限までに納付しなかった場合。

ご質問は役員給与であり,源泉徴収の問題なので,

不納付加算税が課せられたことになります。

以上の①~③と異なり,④重加算税は「重い」加算税です。

①~③の加算税より,悪質性が高いと判断された場合に,

税率の高い加算税を課せられる。それが重加算税です。

「仮装」や「隠ぺい」があったことが要件とされています。

①~③の加算税であれば,本税の10%~15%ですが,

④重加算税になると,35%~40%の高い税率になります。

こうした加算税については,「行政制裁」だと解されています。

ペナルティ課税だと考えていただければよいかと思います。

税務訴訟で争った場合,本税の処分が違法になれば,

これに付随する加算税賦課決定処分も取り消されます。

また,本税の処分が適法だと判断された場合でも,

「正当な理由」を納税者が立証できれば,

加算税賦課決定処分だけが取り消されます。

ストック・オプション税務訴訟は,この後者でした。

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税務訴訟で延滞税の取消訴訟はできるか?

(ご質問)

更正処分を受け,加算税と延滞税も発生しました。

訴訟で争うときは全ての取消しを求めるのですか?

(ご回答)

処分取消訴訟の対象に延滞税は含まれません。

ご質問のケースですと,更正処分の取消しと,

加算税賦課決定処分の取消しを求めることになります。

具体的な訴状の記載方法は次のとおりです。

(請求の趣旨)

更正処分と加算税賦課決定処分の取消しを求める。

(訴額の算定)

加算税は訴額の算定に含めない。

(∵附帯請求にあたるため。民事訴訟法9条2項)

では,延滞税はどうなるのか?

延滞税は,判決で更正処分が違法とされ確定すれば,

本税の違法性が連動し,返還されることになります。

処分取消訴訟の対象にできないのは,

延滞税に「処分」性がないと解されているからです。

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役員給与等の「源泉徴収義務」と納税告知処分

(ご質問)

当社は,役員給与に関連して納税告知処分を受けました。

納税告知処分というのは更正処分とは違うのでしょうか?

(ご回答)

役員給与などの源泉徴収義務の不履行があった場合,

納税告知という処分がされます。

本来,給与を支払う際に天引きをして税務署に納めるべき

源泉徴収税を納めていなかったと判断された場合に課されます。

納税告知処分は,更正決定(更正処分)とは違い,

「徴収処分」であると解されています。

源泉徴収義務は,金員の支払時に確定すると解されています。

本来の納税義務と違い申告で確定させるものではないのです。

確定申告した税額を税務署長が更正する「更正決定」と異なり,

確定した税額を徴収するための「告知」となるのです。

もっとも,納税告知処分も,「処分」性があると解されています。

そこで,納税告知処分の取消訴訟を提起することができます。

納税告知処分がされた場合,不納付加算税が課せられます。

源泉徴収義務は申告納税ではないため,「過少申告」ではなく,

「不納付」に対する加算税(行政制裁)となるのです。

不納付加算税も過少申告加算税と同様に10%です。

以上については,国税通則法に定めがあります。

納税告知は36条,不納付加算税は67条です。

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税務訴訟と補佐人税理士

(ご質問)

税務訴訟では税理士も訴訟代理人になれるのですか?

(ご回答)

税務訴訟に入るまえに必要な不服申立てがあります。

①異議申立てと②審査請求

この2つの手続については,税理士が代理人になれます。

(弁護士も代理人になることができます。)

これに対して,訴訟では税理士は代理人にはなれません。

これは「弁護士代理の原則」というルールがあるからです。

民事訴訟法54条1項に規定があります。

「弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。」

これが原則です。

とはいえ,税務訴訟では税務の専門家の参加が不可欠です。

税理士の先生は「補佐人」として訴訟追行に参加できます。

補佐人は,専門的事項について,訴訟代理人を補佐するもの。

裁判所の許可を得ることが必要です(民訴法60条1項)。

例外的に,税理士の場合には「届出」で足ります。

平成13年に改正された税理士法に定めがあるからです。

税理士法2条の2という規定です。

税理士法2条の2第1項は,次のように書かれています。

「税理士は,租税に関する事項について,裁判所において,

補佐人として,弁護士である訴訟代理人とともに出頭し,

陳述をすることができる。」

この規定ができたため,現在は裁判所の許可は不要です。

実務上は「補佐人選任届」というものを提出しています。

もっとも,「租税に関する事項」はどこまでか?

という問題もあります。

租税に関する事件は,税務訴訟(行政訴訟)のほかにも,

税理士損害賠償請求訴訟,同保険金請求訴訟,

国家賠償請求訴訟などがあるからです。

いずれにしても専門家同士がタッグを組む。

そこに「強み」が出るのです。

補佐人税理士のことについて詳しくり知りたい方。

補佐人税理士小百合が行く!」(ブログ)が詳しいです。

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租税法律主義と税務訴訟

租税法律主義は憲法の大原則です。

憲法84条には次のように書かれています。

「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,

法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」

端的にいえば,課税するためには「法律」が必要だということ。

具体的にいうと,次の2つの原則が導かれます。

①課税要件法定主義

②課税要件明確主義

①は,課税するための要件と手続は法律で定めること。

②は,課税するための要件は明確であること。

簡単にいうと,この2つが要請されています。

その理由は,租税が国民から無償で強制的に徴収するもの。

だからです。

いわば憲法で保障された財産権を制約する場面です。

そこで,国民の代表者である国会がつくった「法律」が必要。

この原則から,いわゆる通達で課税することは許されません。

通達課税は,課税要件法定主義(①)に反するからです。

もっとも,現実には国税庁が通達を整備しています。

しかし,これはあくまで法律で定められた要件のもとで,

実務上,課税庁が運用しやすくするための便宜的なものです。

課税の根拠は「法律」になければなりません。

このことは,税務訴訟の場面で顕著になります。

裁判所は「法の番人」です。

税務訴訟の判決文を読むとわかりますが,

裁判所は,あくまで法律の解釈を展開することがほとんどです。

通達の解釈を展開する場合でも,

おおもとには法律の定めがあってのこと。

したがって税務訴訟では「通達」を重視する必要はありません。

わたしたちは,法律の解釈を展開することになります。

もっとも,通達も準則として参考にされる場面もあります。

それは,通達の定めに合理性がある場合です。

そして,その通達の定めが納税者の指針となっている場合です。

たとえば,時価の評価について,財産評価基本通達があります。

税法上評価される「時価」の算定方法が書かれた通達です。

納税者は「低額譲渡」にならないよう,この通達を参考にします。

したがって,時価評価の場面では,財産評価基本通達が原則。

この通達どおりに算定して「低額譲渡」でないのに,課税する。

それは納税者の「予測可能性」に反すると考えるのです。

いろいろな見解がありますが,現在の判例はこれが趨勢です。

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税務訴訟はどこの裁判所に訴えればいいのか?

(ご質問)

当社は神戸市内に本店がある株式会社ですが,

このたび神戸市内の所轄税務署から更正処分を受けました。

税務訴訟をする場合,どの裁判所に訴えればよいですか。

(ご回答)

これは「管轄」の問題です。

どの裁判所に提訴すべきかは,「管轄」の定めがあります。

税務訴訟では行政事件訴訟法にルールが書かれています。

結論から申し上げますと,ご質問の事例では,

①東京地裁

②神戸地裁

③大阪地裁

のいずれかに訴え提起をすることができます。

この3つの裁判所から自由に選ぶことができます。

理由を簡単にご説明します。

平成16年に行政事件訴訟法が改正されました。

改正以前は,処分をした税務署長が被告になりました。

そのため,管轄は被告の普通裁判籍(所在地)となり,

上記事例でいえば,「神戸地裁」のみが管轄でした。

平成16年の改正によって,被告は「国」になりました。

これによって,全国どの地域の課税処分であっても,

国税に関するものについては,東京地裁が管轄になりました。

国の所在地は,東京地千代田区霞ヶ関1-1-1だからです。

もっとも,東京地裁だけを管轄としてしまうと,

遠方の方がわざわざ東京まで来る必要がでてしまい,

裁判を受ける権利をまっとうできなくなるおそれもあります。

そこで,改正行政事件訴訟法は2つのオプションを認めました。

1つが「処分をした行政庁の所在地を管轄する裁判所」です。

上記事例ですと,神戸市内の税務署長が「処分をした行政庁」。

そこで,神戸地裁も管轄の1つになります。

また,もう1つのオプションとして「特定管轄裁判所」があります。

これは,原告の普通裁判籍(所在地)を管轄する高等裁判所の

所在地を管轄する地方裁判所です。

いっけんするとわかりにくいですが,

上記事例でいえば大阪地裁です。

神戸市が本店所在地の会社が原告です。

ここを管轄する高等裁判所は「大阪高裁」。

大阪高裁の所在地(大阪市内)を管轄する「地方裁判所」。

これが「大阪地裁」となります。

こうした3つのオプションは,地域により異なってきます。

東京の場合は,3つのオプションいずれも「東京地裁」なので,

実際には選択肢は1つだけになります。

なお,税務訴訟(処分取消訴訟)は行政事件になるため,

第1審は必ず地方裁判所(地裁)になります。

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税務訴訟で出した証拠を見られたくない

(ご質問)

税務訴訟で裁判所に提出した証拠は閲覧できるそうですが,

機密事項が含まれた証拠まで人に見られてしまうのですか?

(ご回答)

税務訴訟も裁判のひとつです。

憲法上,裁判は「公開原則」があります(憲法82条)。

「公開原則」というのは密室で裁判をしてはいけないというもの。

誰でも裁判所にいけば傍聴できます。

これが「公開原則」の1つです。

もっとも,傍聴だけでは実際の裁判の内容はわかりません。

とくに税務訴訟などは書面と書証(証拠)が重要です。

そこで,どなたでも訴訟記録の閲覧ができます。

この閲覧についてはすでにお話をしました。

今回のご質問は「閲覧」をされたくないというものです。

税務訴訟で勝訴するためには多くの証拠が必要です。

提出する証拠に企業秘密が含まれることもあるでしょう。

こういった場合の秘密保護の手段に「閲覧制限」があります。

閲覧制限は,企業秘密等の事項について黒塗りにするもの。

「公開原則」の例外として,閲覧できないようする措置です。

といっても,裁判は公開が原則です。

そこで,例外的に閲覧制限が認められるための要件があります。

要件は民事訴訟法92条1項に書かれています。

閲覧制限ができるのは,2つの場合です。

1つはプライバシーにかかわるもの。

もう1つが営業秘密にかかわるものです。

「営業秘密」といえるためには,厳格な要件があります。

不正競争防止法2条6項の要件を満たす必要があります。

①秘密として管理されていること(秘密性)

②有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)

③公然と知られていないものであること(非公知性)

こうした要件をすべて満たして初めて,閲覧制限ができます。

閲覧制限を希望する場合には,裁判所に申立てをします。

裁判所が上記要件を満たしていると判断すると,

その該当部分について閲覧制限の決定が出ます。

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税務訴訟で控訴したい

(ご質問)

国を相手に課税処分の取消訴訟をしたところ,

残念ながら第1審判決では請求が棄却されました。

控訴するにはどうしたらよいですか?

(ご回答)

税務訴訟といっても,

判決に対する不服申立て手続は通常の民事訴訟と同じです。

通常どうなのか?という話になりますが,次のとおりです。

第1審の判決が言渡された後,判決書を受領します。

言渡しがあったあとに係属部の書記官室に行くともらえます。

判決書を受領する際に,受領印を押します。

この判決書受領の日の翌日から起算して2週間(14日)。

これが控訴期限になります。

この期間内に控訴状を提出しないと第1審判決が確定します。

期間内に控訴状を提出すれば,控訴審がスタートします。

控訴状を提出する裁判所は第1審判決をした地裁の係属部。

宛名は「××高等裁判所」あてになりますが,

提出をするのは地裁の係属部になります。

控訴する際には印紙代と予納郵券が必要になります。

印紙は裁判所に納めるもので,訴額によって異なります。

訴額が同じであれば,提訴のときの1.5倍の額になります。

控訴状には,控訴の具体的理由まで書く必要はありません。

控訴の理由については,「控訴理由書」で書くのが通常です。

14日以内にまず控訴状を出す。

そして,そこから50日以内に「控訴理由書」を提出する。

この「控訴理由書」のなかで第1審判決の誤りなどを書きます。

これが控訴する際のおおまかなスケジュールになります。

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税務訴訟の裁判官は何人いるのか?

(ご質問)

税務訴訟は何人の裁判官が担当するのですか?

(ご回答)

通常の民事事件では,1人の裁判官ということもあります。

これを単独事件(単独制)といいます。

通常の民事事件の地裁は,単独制が原則です。

複雑な事件では,地裁でも3人の裁判官になります。

これを合議事件(合議制)といいます。

通常の民事事件では,事件が複雑かどうかで区別します。

刑事事件は罪名によって単独か合議か決まりがあります。

(裁判所法26条に書かれています。)

これに対して民事事件では明確な決まりはありません。

事件が複雑で合議制が必要だとなれば合議事件になります。

そのため,通常の民事事件では,最初は単独事件。

途中から「事件が複雑なので,合議にします」ということも。

これに対して,税務訴訟は地裁でも常に合議事件になります。

(ここでいう税務訴訟は処分取消訴訟など行政事件の場合です)

行政事件は複雑なので,単独制にはしないのです。

控訴審も3人の裁判官の合議制です。

高裁では,通常の民事事件でも常に合議制になっています。

上告審では5人の裁判官で構成される小法廷で審理されます。

これが原則です。

例外的に判例変更や憲法問題があれば,大法廷になります。

大法廷は最高裁判所の裁判官全員(15人)で審理されます。

大法廷は年に1度も開かれないのが通常ですので,例外です。

通常審理される最高裁の小法廷は全部で3つあります。

第一小法廷,第二小法廷,第三小法廷の3つです。

各小法廷に5人ずつ最高裁裁判官がいます。

もっとも取扱う事件の定足数は3人です。

最高裁の事件でも,3人の裁判官のみということがあります。

これは裁判所法9条2項に根拠があり,3人でもよいわけです。

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