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2009年5月

新連載「ストーリーで学ぶ!現場が知っておきたい税務訴訟入門」スタッフアドバイザー6月号より

税務研究会の「スタッフアドバイザー」で連載が始まります。

「ストーリーで学ぶ!現場が知っておきたい税務訴訟入門」

というタイトルで,同誌の6月号からの掲載となる予定です。

内容は題名のとおり,税務訴訟入門になります。

特徴としては,冒頭に会話があり,会話でできた言葉について,

初心者の方でもわかるように,基本から解説している点です。

どのようなものかイメージがわくよう,

「期間限定」(6月1日(月)午前10時以降~6月15日(月))で,

第1回掲載分をホームページから閲覧することができるそうです。

ご興味ある方は,ぜひご覧ください。

「スタッフアドバイザー」さんのホームページから閲覧できます。

http://www.staffad.com/にアクセスいただきますと,

「期間限定特別公開」からご覧いただけるそうです。

ご意見,ご感想などありましたら,お知らせいただけますと,

嬉しく思います。

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延滞税が免除されない場合(その1)

下記のご質問をいただきました。

(ご質問)

国税通則法第63条5項,地方税法第15条の8第4項等においては,税務署長等及び地方団体の長は延滞税を「免除することができる」と規定されています。

こうした延滞税が免除されるための法律上の要件を満たしているにもかかわらず,延滞税免除の処分が行われなかった場合,当該処分を不服とするときは,不服申立の対象となるのでしょうか。

また,その不服申立の期限の起算となる日はいつになるのでしょうか。

(ご回答)

ご質問については,問題点を次のように整理できると思います。

①延滞税を免除しないことに「処分性」が認められるか。

②「処分性」がない場合,ほかに争う手段はないか。

③争う手段があるとしても,時効や除籍期間はないか。

④争う手段があるとしても,「免除することができる」という条文を

根拠に免除しないことの責任を追及できるか?

以上の4点について整理した上で,次回以降ご回答いたします。

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Wednesday READING- No.5- 畑村洋太郎「創造学のすすめ」(講談社)  

今週ご紹介する本は,「創造学のすすめ」(講談社)です。

畑村洋太郎さんは,「失敗学のすすめ」など著作が多い方。

東京大学名誉教授で,創造工学などを研究されています。

畑村さんの著作は,図解が多いのが特徴です。

ビジュアル全盛の昨今の書籍。図解は一般化しています。

けれど,畑中さんの著書のビジュアルはハンパありません。

これはお読みいただくしかありませんが,

これでもか!というほど,言語の図式化に挑戦されています。

読みやすく,物事の本質を徹底して探求する著書が多いです。

本書も,その特徴をそのまま受け継いでいます。

なかでも「創造にいたる3つのステージ」は参考になります。

畑村さんは,「創造」を次のように定義します。

「創造とは,要素,構造を組み合わせることで,

新しい機能を果たすものをつくり出すこと」(25頁)

そして,「創造」には3つのステージがあるといいます。

第1段階「模倣する」

第2段階「自分で構成する「要素」をいろいろ組み合わせて

「構造」をつくっていく(=定式を覚える)」

第3段階「創造するものに新しい「働き」を求める,つまり

「機能」を強く意識する視点を持つ」

(以上,24頁~29頁)

とりわけ,ないがしろにされがちな第1段階と第2段階,

つまり,「模倣し」,「定式を覚える」ことの重要性について,

畑村さんは,次のようにいっています。

「創造する際には,他の人のやり方を模倣したり先人の

智恵の結晶である作法や定式などを使い,どんな要素が

どんな構成をしているかというパターンを数多く知っている

ほうが,創造する力もより高められるといえるでしょう。」

(31頁)

アイデアに関する古典的名著も,次のようにいっています。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の

何ものでもない」

(ジェームス・W・ヤング「アイデアのつくり方」阪急コミュニ

ケーションズ28頁)

(ジャック・フォスター「アイデアのヒント」(阪急コミュニケー

ションズも,上記の定義を敷えんしています。)

既存の概念や原理原則,物事の本質に関する法則…。

こういったものを1つ1つ学んでいく地道な作業が,

どのような分野であれ,重要であることがわかります。

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新株予約権に対する課税(その1)

現行の会社法では、新株予約権を発行することができます。

新株予約権とは、会社の株式を取得できる権利のこと。

予め定められた権利行使価格で購入できる権利なので、

株価の動向をふまえて、権利者が行使時期を決めます。

買うことができる権利という点で、コールオプションの1種です。

この新株予約権に対する課税については、

①課税時期

②所得区分

の2つの観点から、検討する必要があります。

これについては、課税実務としては通達がありますが、

通達でも全てをカバーできているわけではありません。

また、司法判断が確立していない点で、

法解釈上様々な問題点が残されています。

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Wednesday READING- No.4- 中野次雄編「判例とその読み方〔三訂版〕」(有斐閣)

今週ご紹介する本は,「判例とその読み方」(有斐閣)です。

初版は1986年発売のロングセラーです。

今年の3月30日付けで「三訂版」が出ました。

「判例の読み方」について多角的な言及がされています。

法律実務では,判例が非常に重要です。

重要なため,判例をチェックし,検討することになります。

とりわけ,税務訴訟のような専門的な裁判では,

従前の判例との整合性が問われるため,多く検討します。

といっても,その判例をどのように読むべきかについては,

実際には,それぞれの読み方で読まれています。

本書は,判例がどのような過程を経て作られるのか,

あるいは,どのようなときに変更されるのか,

あるいは,最高裁ではどのような作業をしているのかといった

法律実務家でもあまり知らない世界が詳細に書かれています。

たとえば,判例にも「強い判例」と「弱い判例」があるといいます。

「強い判例」は,変更される可能性の少ない判例のことで,

「弱い判例」は,その可能性がかなりあると思われる判例

をいうと定義されています(25頁)。

そして,留意点として,次の5つの視点が挙げられています。

①長年にわたって繰り返され,いわゆる「確立した判例」

になっている場合はその強度はきわめて高く,これに対して

1回だけのもの,特にかなり以前に1回出されたにすぎない

判例はそれに比べると弱い。

②大法廷の判例は小法廷のよりも一般に強い。

③全員一致の判例は反対意見あるものに比べ安定度が高い。

④学者・実務家の異論の多い判例も変更可能性をもっている。

⑤明示的に論点とされることなく示された法律的判断は,

裁判官に格別の問題意識がなく十分に議論を尽くしていないこと

も考えられるから,その判例としての安定度は比較的弱い。

(以上,25頁ー26頁)

判例にも「正しい読み方」があることがわかる本です。

上製本のかっちりした学術書なので,辞書的にも使えます。

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税務訴訟の勝訴判決が確定した場合

税務訴訟の勝訴判決が確定した場合,

その後,納税者が何かすべきことがあるかといいいますと,

特段やるべきことはありません。

判決で処分が違法と判断され取り消され,確定した場合。

徴収された本税,加算税,延滞税,地方税が還付されます。

この際,納付をした日から還付までの期間に応じて,

還付加算金も付されます。遅延利息的なものです。

判決確定後は,所轄税務署の側で還付の対応をしてくれます。

その発動を促すために特段の手続等は必要ありません。

その他,判決が確定したことを証する証明書(判決確定証明)を,

裁判所に発行してもらうことが,企業の場合は多いです。

この判決確定証明を入手する場合は,裁判所に申請をします。

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Wednesday READING-No.3- ロバート・アップデグラフ=酒井泰介(訳) 「あたりまえのアダムス」(ダイヤモンド社)

今週ご紹介する本は「あたりまえのアダムス」という書籍です。

本書の原題は次のとおりです。

OBVIOUS ADAMS :  The Story of a Successful Businessman

原典が発売されたのは,1916年。

いまから90年以上も前に発表された本です。

上製本(ハードカバー)ですが,わずか94頁。

イラスト入りなので,絵本のようにあっという間に読めます。

「あたりまえのことをすることが大切である」

「あたりまえのことをすることが難しい」

などとよくいわれますが,

本書はその「あたりまえ」の内容を具体的に示しています。

参考になるシーンを1つ,ご紹介します。

ある日,アダムスが勤める広告会社に手紙が届きます。

依頼者は,ボンド紙(白い上質紙)をつくる製紙会社。

広告を出したいので,工場をみてもらいたいとのこと。

アダムスは会社を案内してもらい,紙づくりの世界に浸ります。

その結果,次のことに気づきます。

・この会社では選りすぐりの白いぼろ切れを使っている。

・紙を漉(す)く水は濾(こ)し抜かれた純水で,清潔な作業場

で干されている。

・紙は1枚1枚,手作業で検査されている。

これらの事実は,一般には知られていませんでした。

この点を強調した広告案を作ったアダムスに対して,

依頼者の社長は,アダムスに次のようにいいます。

「紙づくりについてそんな広告をしたら,全国の製紙会社の

あいだで物笑いの種になってしまうよ。なにしろ,すべての

良質な紙は,そんなふうにつくられているのだから」

これに対して,アダムスは社長に次のようにいいます。

「あなたは誰に向かって広告をしようとしているのですか?

紙のメーカーですか,それともユーザーですか?」(51頁)

どのような業界でも,「業界のあたりまえ」があります。

けれど「業界のあたりまえ」は,素人にはわかりません。

わからない人に伝えるのに,「あたりまえ」を前提にしてしまう。

こういうことがよくあると思います。

これは無意識行ってしまうことも多いと思います。

「自分のあたりまえ」が,相手にもあたりまえかどうか,

チェックをすることの重要性を示唆してくれる本です。

ちなみに,アダムスは,「あたりまえ」を知る方法について,

「分析が必要である。分析するには、考える必要がある。」

といっています(57頁)。

ここではご紹介しませんが,「あたりまえテスト」なるものも

後半に書かれており,チェックの視点として役立ちます。

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Wednesday READING- No.2- 我妻榮「法律における理窟と人情」(日本評論社)

我妻榮(わがつま さかえ)先生は,民法の泰斗です。

法律の勉強をすれば,必ず耳にし,目に触れる学者。

我妻先生の民法の本は、奥が深く緻密です。

いまでも、税務訴訟の準備書面で引用することがあります。

我妻先生は1897年に生まれ,1973年に亡くなりました。

没後36年たった今日でも,「民法といえば我妻先生」です。

もっとも,現代社会で法律を学ぶ私たちは,

我妻先生が残された民法の体系書を読むことはあっても,

それ以上に,先生のお話を聴く機会はありません。

どのようなお人柄だったのかも,正直わかりません。

本書は,我妻先生の生前の講演録です。

発刊されたのは昭和30年(1955年)ですが,

平易な言葉でわかりやすく書かれているため,

とても読みやすく,親しみがもてます。

法律のことをわかりやすく書いた一般書的な本です。

我妻先生は,本書のなかで,法律家の任務は,

「常識と人情が法律論の一般的確実性を崩さずに通る

ようにすること」だといっています(52頁)。

法律の基本(とりわけ民法の目的)は,

「一般的確実性」と「具体的妥当性」の調和だといわれます。

誰にでも適用される一般的な法の枠組みは維持しながら,

実際の事案を具体的に解決するため妥当な解釈をする。

というような意味なのですが,我妻先生のこの説明を,

次のように,とても明快に述べられています。

「法律家は,とかく,理窟っぽいとか,融通がきかないとか,

杓子定規だとかいわれます。そのとおりだと思います(笑声)。

また,人情を理解しない,世の中のことを考えるのに,

人情がどうなろうといっこうにかまわない,法律の筋さえ

通せばよいと思っている,と批評されています。

それも本当だと思います。

しかし,よく検討してみますと,いくら法律家でも,理窟さえ

通ればよい,杓子定規でかまわない,と思っているものは

少ない。人情にもとるといわれると,多くの法律家は,

やはりどうも後ろめたいものを感ずる。なんとかして

理窟と人情を調和させたい,杓子定規に終始しないで,

人情味を加味したいという気持をもっています。

ただ,法律家が,人情を取り入れたいと思うときにも,

法律の筋を崩さずに,杓子定規の枠をはずさずに,

これをやりたいと考えるのです。

ここに法律家の特色がある。なぜでありましょうか。

それは法律には論理の筋を通さなければならない,

という要請があるからであります。」(4頁ー5頁)

同じように「法律の解釈」についても,こういっています。

「要するに,一般的確実性を崩さないで,しかも具体的

な場合にあたって,できるだけ人情に適した結論を

導きうるような解釈をすることだ,といっても決して過言

ではありません。」(29頁)

法律家が法解釈で行うべきポイント。

「一般的確実性」と「具体的妥当性」という難しい言葉。

法律の教科書では,この専門用語が使われます。

それを我妻先生は,誰にでもわかるようくだいています。

「理屈」と「人情」。

この2つの調和を図っていくことが法解釈です。

法律に興味がある方だけでなく,法律の専門家でも,

いろいろな発見がある本だと思います。

古い本ですが,東京駅オアゾ丸善ブックストアー1階に,

棚置き,平積みされており,購入することが可能です。

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「小説で読む民事訴訟法」のご感想をいただきました。

『小説で読む民事訴訟法』(法学書院)の感想をいただきました。

『小説で読む民事訴訟法』は,昨年4月に発売した拙著。

これまで民事訴訟法は眠い(民訴は眠素)といわれてきました。

その理由は,実際の訴訟実務を見たこともないまま,

訴訟法(手続法)の勉強をすることが原因だと考えてきました。

そこでイメージがわく本になればと思い,小説にしたものです。

法科大学院生の方から,次のようなールをいただきました。

以下,若干要訳しながら引用させていただきます。

「私は、先生の「小説で読む民事訴訟法」を

昨年度の未修者1年生のときに、ずいぶんお世話になりました。

大学は法学部ですので、純粋な未修者ではないのですが、

学部生の頃は、六法よりも、税法や、保険法、

企業と法律の関わりなど、そちらのほうがおもしろくて、

手続法の授業をうけていませんでした。

そのため、ロースクールに入学し、

はじめて民事訴訟法を勉強したのですが、これが難儀しました。

基本書はどれも分厚く、手続法だからなのか、

なかなかイメージをわかず、非常に苦労しました。

たまたま、ローの本屋で、木山先生の「小説で読む民事訴訟法」

を見つけ、これは鳥飼事務所の木山先生の本だ!

と驚いて手に取りました。

「小説で読む民事訴訟法」では、

「法廷傍聴を思い浮かべて、民事訴訟法の~~主義を考える」

というところが非常にわかりやすく、

なるほど!と思わされました。

民事訴訟法は、~~主義という似たような概念が多く、

何が違って、どの場面ででてくる概念なんだ、

と混乱していましたが、実際の裁判を思い浮かべて考えると、

思いのほか、納得しながら勉強できました。

また、「反対概念を考える」という点も、

職権調査主義と弁論主義のあたりの理解にとても役立ちました。

民事訴訟法の導入として、とても助かりました。

先生が連載中の「行政法」についても、

図書館で毎月受験新報をチェックしています。」

ご丁寧なメールをいただき,ありがとうございました。

『小説で読む民事訴訟法』の続編も,受験新報で連載中です。

タイトルは『小説で読む行政事件訴訟法』です。

私の専門分野である「税務訴訟」がメインの小説ですが,

こちらもご愛読いただければ嬉しいです。

注)いただいたご感想メールは,ご本人のご了解を得たうえで,

ご紹介させていただいております。

ご連絡なく掲載することはございませんので,

拙著のご意見・ご感想などありましたら,

いつでも,質問BOXにメールをいただければ嬉しく思います。

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