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2009年8月

Wednesday READING-No.18-奥住壽「税務調査のための証拠資料の作成・管理実務」(中央経済社)  

みなさん,こんにちは。弁護士の木山です。

今週ご紹介する本は,税務調査の実務に関する本です。

しばらく一般書が続きましたので,専門書からのご紹介です。

税務訴訟で重要なのは,いうまでもなく「証拠」です。

どれだけ納税者の主張を支える「証拠」があるか。

その「証拠」の有無で判決に大きな影響が出てきます。

本書は,税務調査のための証拠ついて書かれた本ですが,

税務訴訟の対象が「税務調査に基づきなされた処分」なので,

おおもとにある発想・視点として非常に参考になります。

著者の奥住さんは,「はじめに」で次のようにいっています。

「本書は,従来他書が取り上げていない税務証拠一般を全般的に解説した「税務常識資料」である。詳細なる解説書がない分野の試みであり…」

この「はじめに」にあるように,こうした本はあまりみかけません。

税務調査を受ける側の企業や個人の方にも参考になりますし,

税務訴訟・税務調査などの実務を扱う方,

税法を研究・勉強をされている方にも非常に参考になる本です。

構成としては,おおむね次のような目次になっています。

「カネ」に関する資料(第2章)

「モノ」に関する資料(第3章)

「ヒト」に関する資料(第4章)

「契約」に関する資料(第5章)

「金融機関」に関する資料(第6章)

「不動産」に関する資料(第7章)

「生活」に関する資料(第8章)

「言動」に関する資料(第9章)

「文献等(税務知識情報)」に関する資料(第10章)

「情報」に関する資料と資料管理システム(第11章)

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Wednesday READING-No.17-清水浩「脱「ひとり勝ち」文明論」(ミシマ社)  

みなさん,こんにちは。弁護士の木山です。

お盆明けの1週間,いかがお過ごしでしょうか。

今週ご紹介する本は,明るい未来を予感させる爽快な本です。

著者の清水浩さんは,電気自動車エリーカをつくられた方。

電気自動車として世界最速の時速370キロを記録した車です。

今後は太陽電気を利用した環境にやさしいクルマ社会になる。

という本なので,興味がなければ手にしない方も多そうです。

わたしもテーマそのものには特段関心はありませんでした。

が,読んでみると,イラストや図もふくめ,とにかく読みやすい。

エッセイのように気軽な気持ちで読めます。

そこに,環境問題や日本の歴史や未来が克明に描かれている。

しかも,タイトルにあるように今後の文明社会は,

「ひとり勝ち」ではなく,社会全体で豊かになるものだという,

とても前向きで建設的な思想が根底に流れています。

乗ってしまえば,自分で運転しなくても目的地まで辿り着ける

近未来の自動車のイラストなどもあり,

新しい近未来の社会を垣間見ることができます。

スケールが壮大で,それだけでも楽しめる本です。

今年(2009年に)読んだ本は300冊以上ありますが,

そのなかでもかなりのオススメが,本書です。

ありきたりのビジネス書に飽きた方に特におすすめです。

装丁もシンプルでありながら綺麗です。

クルマを運転しないわたしでも思わず手にとってしまいました。

こういう本がもっと増えていくといいな,と思わせる良書でした。

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Wednesday READING-No.16-中谷彰宏「なぜあの人は整理がうまいのか」(ダイヤモンド社)  

みなさん,こんにちは。弁護士の木山です。

お盆休みに入られる方も多いと思いますが,

お休みに入られるまえにやってきおきたい「整理」の本。

それが、今週ご紹介する本です。

著者は、800冊以上の著書がある作家の中谷彰宏さん。

本書は「シリーズ4作目」として、最近出版された本です。

読み終わると,自然と片付けがしたくなる不思議な本です。

なるほどな、と思った点をご紹介します。

「自分がいつも座って見る景色の反対側にまわると,

机が散らかっていることに気づきます。

違うアングルで見ると,自分の机がいかに散らかっているかが

わかるのです。」(77頁)

そして,「違うアングル」に気づくためには,

写真を撮るのがよいと,中谷さんはいいます。

「ブログで紹介するために,サンプルで部屋の中のいろいろなものを写メしていると,自分で「なんだ,これ」と思うことがあります。…毎日見慣れていると,そのことに気づかないのです。写真は,第三者の目で見ています。自分の目では気づかないことでも,写真を撮って第三者の目で見ることで,意外なところが汚いことに気づけるのです。」(78ー79頁)

わたしはこの文章を読んで,自宅の書斎に山積みされた本を,

携帯のカメラモードで見てみました。

絶句するほどの「ゴミの山」が映りました…。

そして、気がつくと、いてもたってもいられなくなり,

1年以上整理していなかった本棚の片付けをしていました。

(深夜3時過ぎにもかかわらず)

ほかにも,「読みかけの本は,「役目を果たした。ありがとう」と言って捨てればいい」(88頁)など,ものを捨てられない方にはビビビッと響く言葉がもりだくさんです。

最後に、帯にある言葉をご紹介します。

「モノを捨てるとテンションが上がる。」

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Wednesday READING-No.15-中尾巧「検事はその時」(PHP研究所)  

みなさん、こんにちは。弁護士の木山です。

お盆も間近になってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今週ご紹介する本は、現役の検事長が書かれた本です。

著者の中尾巧さんは、大阪高検検事長。

本書は、今年の6月に出版されました。

ハードカバーで、検事の職務活動を記した本。

なので、いっけん硬そうな印象を受けますが、

読んでみると、1話が2,3頁で完結し、エッセイ風なので、

とても読みやすいです。

全部で50の話が掲載されていますが、総ページ数が182頁。

コンパクトにまとめられた良書といえます。

コンパクトでありながら、テーマが多岐にわたっています。

「スリ係刑事」、「被告人の嘘」など、検事っぽいものから、

「フーリガン」、「コンプライアンス」、「デパート戦争」、

「便宜置籍船」など、特殊な仕事も含め幅広く書かれています。

とくに、税務訴訟を専門にしている私どもの世界では、

著者の「税務訴訟入門」(商事法務)はバイブル的な本です。

法務省訟務局租税訟務課長をされたご経験も、

「税務相談」などのテーマとして描かれています。

検察実務をわかりやすく、幅広く知ることができる本です。

ご自身が書かれたイラスト(風景画)も随所に登場し、

著者の多才な面がうかがえる本でもあります。

PS 本書はブログ「補佐人税理士小百合が行く!」

小百合先生のおすすめ本です。

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法律の条文にある「準ずるもの」とは?(その1)

昨日,日弁連の税制委員会研究会で,報告をしてまいりました。

発表した判例は,担当し,勝訴が確定した国際税務案件です。

大阪高裁平成21年4月24日判決(全部取消し・確定)

(原審・大阪地裁平成20年7月24日判決(全部取消し))

判決文は,http://www.torikai.gr.jp/zsoshou/をご参照。

この事件では,「国内源泉所得」が問題になりました。

「国内源泉所得」は,国内から海外に支払われた金銭のうち,

日本に源泉(所得の発生原因)があると考えられるものは,

支払の際に,日本の会社で源泉徴収をすべきとするものです。

この国内源泉所得を定めた所得税法161条のうち,

6号所得に該当するかが問題になりました。

6号は「貸付金(これに準ずるものを含む。)…の利子」です。

法律の条文にある「準ずるもの」とは一体何を指すのか?

という点は,本件に限らず,他の事件でも問題になるものです。

昨日の報告でも,この点についてご質問をいただきました。

そこで,「準ずるもの」とは何を指すのか?

これまで裁判所は「準ずるもの」をどのように考えてきたのか?

などについて,これから解説をしていきたいと思います。

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