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2009年9月

NLP理論から分析した「二項対立」。

拙著・木山泰嗣「究極の思考術」について,

詳細な書評記事を書かれているブログがありました。

本を通じて,みなさまの「思考法」の一助となればと思い,

「二項対立」というテーマに絞ったのが,「究極の思考術」。

あまりなじみのない言葉に,どこまで,共鳴していただけるか,

理解していただけるか,気になっていましたが,

このブログを書かれた方は,「二項対立」の思考法を,

「NLP理論」という違った思考形態から分析をされており,

わたし自身も非常に勉強になりました。

「さて、最近読んで、非常に良い本だと思いましたので今日はその紹介をしておきましょう。 二項対立という切り口から書かれたロジカル・シンキングの書籍である木山泰嗣著「究極の思考術」。本書は、ロジカル・シンキングの要諦について書かれた書籍ですが、個人的には、本書を読むと、人類学者アーネスト・ベッカーの言った「人は二元論でものを考えたがる」を思い出します。 …」

http://d.hatena.ne.jp/tritune/20090929/1254150017

記事を書かれた松尾様にメールでお問い合わせをして,

当ブログへの掲載のご許可をいただきました。

松尾様からは,

「「究極の思考術」は 本当にこの内容をわずか千数百円で公開しちゃうの・・・・と良い意味で期待を裏切られた個人的にはとても満足度の高い1冊でした。」

というお返事をいただき,大変嬉しく思いました。

ありがとうございます。

本のなかでも書きましたが,

「出し惜しみはしない」というコンセプトで書きました。

最終的には「知」の共有が,書籍の目的だからです。

いろいろな読み方,考え方があると思います。

違った角度からのご感想や分析などありましたら,

質問BOXに,メールをいただけますと幸いです。

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Wednesday READING-No.23-江口克彦「人生を考える201のメッセージ」(PHP文庫)  

みなさん,こんにちは。弁護士の木山です。

もうすぐ10月。とはいえ,ここ数日蒸し暑いですね。

今週ご紹介する本は,PHP総合研究所の社長,

江口克彦さんが書かれたメッセージ集です。

江口さんは,松下幸之助さんのそばで23年間,

お仕事をご一緒されていた方。

松下幸之助さんのエピソードを語られた本なども多く,

人生哲学として読み応えのあるものを書かれています。

本書は,文庫本で206頁。

1頁に書かれている文字も,2~8行程度のメッセージで,

あっという間に読める分量です。

文字の総数としては非常に少ないですが,内容は深いです。

繰り返し読み,勇気をもらえる本です。

好きなメッセージを1つだけ,引用します。

「自分一人が努力しても,

世のなかは変わらないと思うのではなく,

ボウボウと燃える山火事に,

たとえ役に立たないと分かっていても,

目の前にあるバケツの水一杯をかけてやろうとする,

そうした心意気のある

生き方をしたいと思っています。」

(114頁)

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「思考」をテーマにした本、あれこれ。

「思考」をテーマにした本が、非常に増えています。

勉強法、読書法も、あいかわらず勢いがあります。

そのかげで、思考法の本もジワジワときているようです。

特に優れていると思った「思考」の本を3冊ご紹介します。

①森本貴義「一流の思考法 WBCトレーナーが教える「自分力」の磨き方」(ソフトバンク新書)

シアトル・マリナーズでトレーナーをされている著者。

イチローを中心にしたメンタル面の本です。

無意識のチカラを利用するなど、

よくある自己啓発本と書いてあることは同じです。

が、イチローというフィルターを通している点で、

みえかたと説得力、迫力が違います。

新書サイズで読みやすいので、電車で読めます。

「イチロー選手は、チームの状況が悪かろうと、チームメイトがやる気をなくしていようとも、いつもと変わらず同じ準備をし、最高の成果をあげるための準備を続けていました。彼自身は自分の中にある基準を忠実に守り続けていたのです。」(73頁)

②一条真也「ドラッカー思考」(フォレスト出版)

ショッキングピンクの装丁で、目がチカチカします。

正直、この色はもうやめてください…が第一印象で、

目にしてから買うまで1週間かかりました。

ところが、読んでみると、素晴らしい本でした。

ピーター・ドラッカーの思想が、多くの文献引用つきで、

わかりやすく、まとめられているからです。

文章が読みやすく、参考文献も多いため、好印象。

これほどわかりやすく、勉強になる本はあまりありません。

引用は特にしません。

③杉野幹人=内藤純「コンテキスト思考」東洋経済新報社

名著だと思います。

ハードカバーですが、読みやすく、ただし奥は深いです。

「コンテキスト思考」という聞き慣れない言葉の意味は、

本書を読めばわかりますので、ここでは触れません。

「これからの時代に必要なのは、知識を幅広く、そして深く理解し、その上でそれらを統合して捉えて全体像を理解することである。その全体像の理解によって、問題の再定義や、その問題に対する既存の処方箋の選択ができることである。」(184頁)

という著者は、最後にこんなメッセージを残しています。

「本書が、これまでにない新たな問題に直面している日本に広がり、「コンテキスト思考」を習得した読者のみなさんが「おもしろい成果」を生み出すことで、社会や企業が健全な進化を遂げることに少しでも役に立てればこの上なく幸せである。」(200頁)

素晴らしいですね。

著者は本を書くとき、あるメッセージを伝えたいと考えています。

そのメッセージが、個人的なことにとどまっているのか、

社会全体、人類全体、過去から未来へと、壮大なスケールを

持っているのか、それによって本の深さがわかります。

本日ご紹介した3冊は、切り口はそれぞれ全く違います。

「思考」といっても、まったくテーマが違います。

けれど、その背後にある著者の思想の深さ、想いの強さ。

この点では、3冊は「共通」しています。

こうした素晴らしい本が、もっともっと増えるといいな、

と思いました。

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「究極の思考術」について

昨日、発売になった「究極の思考術」。

三省堂書店(本店)にたくさん並べられていました。

1階の新刊コーナーの平だなと平積み。

3階のビジネス書、新刊コーナーにも、

これまでの「究極シリーズ」4冊が平積みされていました。

三省堂書店(本店)のみなさま。

いつもたくさん置いてくださり、ありがとうございます。

所長(鳥飼重和)の新刊「「考運」の法則」も、たくさんありました。

赤い装丁にインパクトがあり、引き込まれます。

いまのビジネス書は、シンプル装丁が流行ですが、

この本の装丁は、かなり凝っており、アート的な魅力ありです。

内容については、近いうちに、“Wednesday READING”での

紹介を考えているところです。

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「究極の思考術」が、藤井孝一さんの「ビジネス選書&サマリー」の「本日の選書」で紹介されました。

発売になった究極の思考術」(法学書院)が、本日(9月24日)

藤井孝一さんの「ビジネス選書&サマリー」で紹介されました。

http://www.bbook.jp/-

「論理思考」という、いっけん難しいテーマについて、

わかりやすく書くことを心がけて書いた本なので、

「わかりやすさで言ったら、本書はピカ一です。」というお言葉、

とても嬉しく思いました。

藤井孝一様、ありがとうございます。

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Wednesday READING-No.22-黒川伊保子「名前力~名前の語感を科学する」(イーステージ新書)  

みなさん、こんにちは。弁護士の木山です。

大型連休の最終日。いかがお過ごしでしょうか。

今週ご紹介する本は、語感について書かれた本です。

黒川伊保子さんは、人口知能の研究に携わり、

現在は、語感(「発音体感」と説明されています)について、

研究をされ、数多くの著書を書かれている方です。

黒川さんの研究の特色は、言葉が持つ音の特質を、

脳を通じた分析をするのではなく、

発音される際に口腔内でどのような現象が起きているか、

という観点から、名前や言葉がもつ「響き」を、

鮮やかに分析されている点です。

わたしはいままで、下記の本を読んできました。

なぜ、人は7年で飽きるのか」(中経出版)

ことばに感じる女たち」(ワニ文庫)

恋愛脳ー男心と女心は、なぜこうもすれ違うのか

(新潮文庫)

怪獣の名はなぜガキグゲゴなのか」(新潮新書)

日本語はなぜ美しいのか」(集英社新書)

いずれも語感(発音体感)について書かれた本です。

読むたびに、その分析の鋭さと、斬新な切り口に驚きます。

黒川さんの本は、女性的なほのぼのとした筆致と、

男性的な分析思考が、両立して登場します。

この両輪が、さわやかに、なめらかに、晴れやかに、

1ページ目から最後のページまで、躍動し続けます。

まだご存じない方も多いと思いますが、

男性にも女性にもおすすめの著者です。

びっくりするほどの発見と納得があると思います。

ということで、今回は本の内容にはあえて触れません。

といいたいところですが、雰囲気を味わっていただくため、

冒頭の数行を引用します。

「ことばには、意味を超えた不思議な力があります。例えば、電車でたまたま隣に座った女性高校生が、連れの女の子に「うちのクラスのスズキ・シュンスケと、ゴウトクジ・マナブだけどさぁ」と話しかけたとしましょう。ふと耳にした二人の男子高校生の名前。ただそれだけなのに、その後の話の展開が「クラス対抗リレーで活躍した男の子」の話になったら、なんとなくスズキ・シュンスケのほうという気がしませんか?その後の話の展開が「歴史にマニアックに詳しいヤツ」の話になったら、なんとなくゴウトクジ・マナブのような気がしないでしょうか。」(10頁)

なお、黒川さんの本を何冊か読まれたことがある方。

本書の特色は、名前別に、その名前がもつ語感を、

五十音順に網羅している点です。

自分の名前に照らして、そこだけ読むこともできます。

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究極の思考術ーあなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点15(ご感想)

みなさん,こんにちは。弁護士の木山です。

明日からいよいよ大型連休に突入ですね。

今週の月曜日にご案内させていただきました新刊について,

発売前ですが一部見本をお渡しし,お読みいただいた方から,

早速のご感想を,続々いただいております。

ありがとうございます。

すべてはご紹介できませんが,1部ご紹介させていただきます。

「世間のビジネススクール系のロジカルシンキングと同じか

と思いましたが、「A」か「B」かの二項対立にフォーカスし、

論理思考力を養うというアプローチは新鮮です。

しかも、ケーススタディも日常の場面に立脚していて、

会話での展開、平易な表現での解説で非常に分かりやすく、

一気に読めてしまいました。」

(O様・男性)

ありがとうございます。

「タイトルを拝見して、副題に「論理思考」とあったので、

難しくて読みこなせないかも?と不安に思っていたのです。

ところが!まだ30ページほどですが、

「これなら私にも理解できるかも??」

という気持ちになっています。

二項対立で考えてみると、

スッキリすることはたくさんありそうです。

この後、読み進めるのが楽しみになってきました。

発売前に読ませていただき、ありがとうございます。」

(K様・女性)

ありがとうございます。

会話文を多くしたので,テーマのわりにはくだけた本に

なっているかと思います。

ビジネス書の著者の方からも,下記のご感想をいただきました。

「昨日から早速拝読しておりますが、

15個の二項対立の事例をベースにした説明が

とても解りやすく、楽しく読めますね。

私も一応法学部出身なのですが、大学一年の時、

「法学」の授業とともに、木山さんのテキストで

「論理思考」に ついての授業があれば、良かったなあ、と

まえがきを読んで感じました。

法律を学ぶ意義の理解が進み、学ぶモチベーションも高まる、

と思いました。」

(ワークデザイン研究所 代表取締役 太期健三郎様

→太期様のブログはこちら。http://blog.livedoor.jp/worklabo/

なお,アマゾンでは予約受付が昨日から始まったようです。

出版社の方から本日のお昼過ぎくらいに,

「予約段階で800番台です」という報告を受けました。

どれどれ,とみてみましたら,「現在取り扱いできません」に。

予約段階ですが,すでに在庫切れなのかもしれません。

一部の書店では,店頭に置かれているところもあるようです。

神保町の書泉グランデさんで見かけました

(早い発売にびっくりです。階段付近にありがとうございます)。

発売予定日は9月25日(金)ですが,

書店によってはそれより前に並ぶところもありそうです。

お読みいただいた方からのご感想お待ちしております。

(追加)

東京駅にあるオアゾ丸善さんにも並んでいました。

1階は3箇所に平積みされており、

2階の「考える」本コーナーにも、平だなに棚置きでした。

思考術の本がすごく増えているなという印象でした。

わたしもほかの本を読んで勉強させていただきます。

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Wednesday READING-No.21-齋藤孝「「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術」(大和書房)  

みなさん、こんにちは。弁護士の木山です。

季節の変わり目ですが、いかがお過ごしでしょうか。

今週ご紹介する本は、テレビ出演も多く、

三色ボールぺンで有名な齋藤孝さんの新刊です。

読書法や読書術に関する本が、最近多く出ています。

わたし自身も昨年の12月に、読書術について、

本を出しました(「弁護士が書いた究極の読書術」)。

齋藤孝さんの「読む」技も、共通点が多く、

そうそう、と思わず、うなずいてしまいました。

・記憶をするためにも本を汚す(線をひく)。

・本を買ったらすぐに喫茶店で読み終える。

・乱読が重要。

・多読と精読を両立させる。

など、うなづいてしまう方法がたくさんありました。

もっとも、こうした「技」の部分は、

多くの本にも書かれていますし、

人それぞれの方法論の話に過ぎません。

本書で最も勉強になるのは、齋藤さんの考え方です。

あとがきには、次のようなことが書かれています。

「 1980年代ごろから、日本では、テレビや漫画週刊誌などの影響もあってか、むずかしいものよりも軽いもののほうが好まれるようになった。さらに、バブル経済の沸騰もあり、手っとり早くお金になる、あるいは社会的に評価されることがベストだという風潮が広まった。

 だが、さまざまな曲折を経て、そうした価値観はいまや崩壊しつつある。資源を持たない日本のような国は、今後は人の質を高めていかなければ立ち行かない。」(220頁)

先日、ある方にお会いして話をしたところ、

「木山先生に会うと本が読みたくなるんです」といわれました。

わたしは本好きで、今年だけでも350冊の本を読んでいます。

それでも、本を読む意欲が下がる時期がどうしてもあります。

そんなときに読むと、「本を読もう!」という意欲がわく本。

それが齋藤孝さんの本です。

齋藤さんの本には、単なる技術論にとどまらない、

深い教養、追いつくことなどできそうにない圧倒的な読書量、

あらゆる物事に対する造詣の深さがにじみ出ているからです。

著者としても、圧倒的な文章力にはいつも脱帽です。

そんな齋藤さんの鋭い指摘を、引用します。

「本には、その著者が長年、蓄積してきた知的な資産や深い思考の流れなどがぎっしりと詰め込まれている。…私は、本を読んでこなかったらいまの自分はない、とはっきりいいきれる。私がいま、考えること、いや、それ以前に、考え方や考えを煮詰めていくやり方などは、多くは本から得たものだからだ。」(66頁)

最後に、本を読むヒマなんてない!という方に、

齋藤さんのひとことをご紹介します。

「忙しいから本を読めないという人は、トヨタ自動車の奥田硯相談役や伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長の本を読むといい。この人たちは猛烈な読書家だが、この人たちより忙しい人は少ないだろう。」(72頁)

齋藤孝さんの本には珍しい(といったら失礼ですが)、

ブラックを基調にしたシックでかっこいい装丁で、

実際のメモ書きなどの写真も多数掲載されています。

ビジュアル的にも内容的にも、おすすめの1冊です。

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究極の思考術ーあなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点15(法学書院)

もうすぐわたしの新刊が発売になります。

昨年の8月以降,「弁護士が書いた究極の~」シリーズとして,

3部作を刊行してきました(「勉強法」「読書術」「文章術」)。

幸い「勉強法」は,久保利英明先生から絶賛をいただき,

大宮法科大学院に、拙著のご寄贈までして下さいました。

また「読書術」は,ベストセラー作家の中谷彰宏さんから,

「楽しむ読書というテーマが最高によい」

という、嬉しいお言葉をいただきました。

「文章術」は,4万5000人もの愛読者がいる,

土井英司さんのビジネスブックマラソンでご紹介いただき,

アマゾンで最高79位を記録しました。

タイトルにある新刊は,このシリーズ「第4弾」になります。

今回の「思考術」では,タイトルや装丁を一新しました。

「色がキレイですね」,「次は何色なんですか?」

とお褒めいただくことも多かったのですが,

より現代的にしたいと考え,出版社の方にお願いをし,

「思考術」にふさわしい表紙にしていただきました。

サブタイトルにあるキーワードが,「テーマ」です。

表紙にはシルエットがあるのですが,

このシルエットがテーマを象徴する形になっています。

「思考」をテーマにした本は,いまビジネス書では,

「脳」の本と並び、点数が多い分野だと思います。

もっとも,わたしが得意としているのは「論理思考」です。

「論理思考」を本当に得意としているのは,法律家です。

裁判官が書く判決文をみれば,一目瞭然だと思います。

弁護士が書く意見書,報告書,準備書面もしかりです。

本書は,文章の書き方を教えるものではありません。

あくまで,論理「思考」の仕方をお伝えするものです。

論理思考が,頭のなかで組み立てられるようになると,

①自分の考えや意見に「説得力」を持たせたいとき,

②複雑な問題を「シンプル」に整理したいとき,

③ガンコな相手の主張の「本質」を探りたいとき,

④筋道を立て「論旨がすっきり」した文を書きたいとき,

⑤難しい議論の「対立点」を知りたいとき,

など多くの場面で,強力な武器になります。

論理思考というと「難しい」というイメージが多いようです。

本書では,身近な会話や具体例を多く盛り込みました。

また,サブタイトルにあるテーマに焦点を絞り,

論理思考の方法を,「シンプル化」させています。

大型連休明けの,9月25日(金)に発売予定です。

書店でみかけたら,ぜひ手にとっていただけると嬉しいです。

またお読みいただいた方は,どんなことでも構いません

(誤字脱字がある!でも構いません),

このブログにある「メール送信」などから感想をいただければ,

大変嬉しく思います。

Shikoujutsu_2

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新司法試験の合格発表について

税務訴訟とおすすめ本を紹介するブログですが、

気になった記事があったので、

司法試験についてお話しようと思います。

時事通信のネットニュースによると、

「法務省は10日、全国74校の法科大学院修了者を対象とした2009年の新司法試験の合格者を発表した。7392人の受験者のうち、合格者は2043人で、同省が今年の目安とした2500~2900人を大幅に下回った。合格率は27.6%で、過去最低だった前年の33.0%を下回り、初めて3割を切った。」(時事通信)

とのことです。

法科大学院を卒業すれば基本的には合格できる。

それが当初予定されていた新司法試験の制度です。

わたしが受験をした旧司法試験は、合格率が2%。

98%は不合格になる、暗黒のような試験でした。

秋になるたび、いやな気分を思い起こしていたこともあります。

合格発表の掲示板に、「今年も自分の名前がない!」

長いプー太郎生活(いまでいうニートでしょうか)が、

またさらに続く!

もう2度と受けたくない試験をまた受けるのか!

本(弁護士が書いた究極の勉強法)にも書いていますが、

わたしは4回目の受験で旧司法試験に合格しました。

それはそれは長く、暗い日々でした。

(もっともうちの所長はもっとたくさん受験していた、

というのですから感服します。

鳥飼重和「稼げる弁護士になる方法」に書かれています)

わたし自身に苦い思い出があるので、

不合格になった受験生の気持ちが痛いほどわかります。

特に合格者数が減ったうえでの不合格は辛いでしょう。

所長やわたしの時代と違い、3回までしか受験できない。

受験制限があることは、プレッシャーになると思います。

上記報道によれば、3回の受験を終えても、合格できず、

受験資格を失った学生も493人いるそうです。

合格率がまったく違うとはいえ、

4回受けてようやく合格できた経験をもつ身としては、

受験回数による制限は、どうなんだろう?

と思ってしまいます。

正直あまり思い出したくない受験時代ですが、

そんなわたしでも、弁護士になってからは、

おかげさまで、活躍の場をたくさんいただいています。

いまは苦い想いをしている受験生も、必ず、数年後、

想像もできないほどの活躍をされているはずです。

合格からよりも、

不合格からのほうが学べることは多いです。

3回目の受験で合格していれば、

わたしは本を書くことはありませんでした。

いまでも本を出版する機会をいただけているのは、

3回目の不合格がくれたプレゼントだと思っています。

今年不合格になった方も、そう思える日が来るはずです。

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Wednesday READING-No.20-中村俊輔「夢をかなえるサッカーノート」(文藝春秋)  

みなさん、こんにちは。弁護士の木山です。

だいぶ涼しくなりましたが、まだ暑さが残っていますね。

いかがお過ごしでしょうか。

今週ご紹介する本は、サッカーの中村俊輔さんの本です。

なんと中村さんが書いてきたノートがカラーで公開。

それだけでも、オモシロイ企画だなと思いました。

ノートをテーマにした本は、昨年にも何冊か流行りました。

奥野宣之「情報は1冊のノートにまとめなさい

太田あや「東大合格生のノートはかならず美しい」など。

ただ、これらは誰もが知るトップスターのノートではありません。

この本は、サッカー界で、まさに数々の「夢をかなえてきた」

中村俊輔さんのノートが素材です。

高校2年生から15年にわたってノートを書いてきたそうです。

そのノートが年齢別にカラー写真で鮮明に印刷されています。

目のまえに中村俊輔さんのノートがあるかのような迫力。

企画としてすごいな、と思いましたが、

読んでいると、ノートの内容がまたすごいな、と驚きました。

ああ、この本読んでるんだ、という本の言葉があったり。

試合での反省点などが克明に書かれていたり。

なによりスポーツをしないわたしが目からウロコだったのが、

イメージ図です。

サッカー場の絵や人の絵が綺麗に立体的に描かれている。

こうしてイメージ力を養っているのか、と感心させられました。

わたしも司法試験時代に、ノートを書いていました。

司法試験は当時は合格率が2%。

ほとんど受からない試験でした。

1年に1回だけの1発勝負。

それで、わたしは模擬試験や答案練習会を受けるたびに、

そのときどきのコンディションから反省点まで、

ことこまかにノートに書いて、それを繰り返し見直しました。

その他、たくさんのノートを作っていたので、

この本を読むと、とても懐かしい気分になりました。

いま発売中の雑誌「Number(ナンバー)」736号でも、

中村さんほか野村克也監督などのノートが公開されています。

やはり1つのことをコンスタントに達成していくためには、

厳しいまでの自己鍛錬と反省が必要なのだなと思いました。

わたしも現在、税務訴訟という勝訴率が低い訴訟で、

「どのようにしたら勝てるか」を、徹底して研究しています。

端からみれば、「そんなことまで気にするのか」、

と思われるだろうことも含め、

様々な角度から分析を重ねています。

そしてそれを所内で共有するために、「勝訴研究会」

という「勝訴にこだわった研究会」も続けています。

勝負の世界は、どの世界も同じですね。

たくさんの学びと気づきと、エネルギーをもらえる本です。

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法律の条文にある「準ずるもの」とは?(その4)

前回に引き続き,「準ずる」が問題になった判例をご紹介します。

今回ご紹介する裁判例は,

鹿児島地裁平成20年1月25日判決です。

(結論)

金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座の不正な利用の防止に関する法律施行規則2条10号ロの「破産管財人又はこれに準ずる者」に成年後見人は当たらない。

(理由)

「破産管財人に準ずる者とは,破産法の保全管理人,民事再生法の管財人及び保全管理人,会社更生法の管財人及び保全管理人等を指し,成年後見人が含まれないことは明らかである。」

この判決で「準ずる者」として例示された者は,いずれも,

倒産手続で財産の管理処分権等をもつことになる者です。

成年後見人は,倒産の際に問題になる者ではなく,

あくまで,高齢者など判断能力のない方の財産管理のために,

家庭裁判所から選任される後見人です。

そこまで含めてしまえば,「準ずる」の範囲を超えてしまう,

という判示でした。

この判決も,下記のような安易な拡大解釈を否定しています。

「法,令及び規則の解釈に当たっては,できるだけそれらの構造と文言に忠実に解釈を行うべきである。特に,令及び規則のうち例外的に本人確認が不要となる場合に関して定めた部分の解釈に当たっては,安易に拡大解釈を行うと,金融機関等に対して混乱をもたらして大きな不利益をもたらすことになりかねない。以上検討したところによれば,…規則2条10号ロを拡大解釈して,成年後見人が代理人として行った取引に適用すべきではない。」

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法律の条文にある「準ずるもの」とは?(その3)

今回から,「準ずる」について判示された判決をご紹介します。

まずは,一般の民事訴訟の判決からはじめます。

「準ずる」という条文の文言は,税法に固有ではないからです。

今日ご紹介する判決は,最一小平成2年10月25日判決です。

(結論)

地方自治法238条1項4号の「地上権,地役権,鉱業権その他これらに準ずる権利」に道路法施行法5条1項に基づく使用貸借による権利は当たらない。

(判例タイムズ743号102頁,判例時報1367号9頁)

この点,最高裁調査官の次のような解説があります。

「消極説(最高裁判決と同じ立場です)に立つ裁判例,学説は,…地方自治法は,「財産」として財産的価値を有するもののうち主要なものを財産管理の対象として把握しているにすぎず,財産管理の現実的必要性といった実質的見地からその範囲を拡大することは,地方自治法が予定している財務会計制度の趣旨,目的に沿わないものであること,などを根拠として,右使用貸借等は,同号にいう「その他これに準ずる権利」に該当しないものと解している。」

(高橋利文「平成3年度主要民事判例解説」271頁)

ポイントは「実質的見地からその範囲を拡大すること」の可否。

「準ずる」という言葉がもっている範囲を広げようとすれば,

「実質的見地からその範囲を拡大」しようという説になります。

これに対して,「拡大」しすぎると「法の趣旨」に反する,

と考えるのが逆の立場です(最高裁はこちらです)。

本件最高裁判決は,「準ずる」の範囲について,

安易な拡大解釈は許されないことを宣明したものといえます。

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Wednesday READING-No.19-島田紳助「自己プロデュース力」(ヨシモトブックス)  

みなさん,こんにちは。弁護士の木山です。

残暑が厳しいですが,いかがお過ごしでしょうか?

今週ご紹介する本は,ご存じ島田紳助さんの本。

発売されたばかりの本です。

この本は2007年3月にNSC(吉本総合芸能学院)大阪で

1度だけ開催された,紳助さんの特別講義です。

お笑い芸人志望の若手の方に向けた講演のようです。

が,ここで語れている哲学やノウハウは,

どの分野にも当てはまりそうです。

正直,かなり深いなと思いました。

これほど徹底して「自己プロデュース」をされてきた。

その結果がいまの紳助さんの地位なのだと思います。

講演録なので,語り口調で読みやすいですし,

126頁とうすい本なのであっという間に読めますが,

中身が深く,ノウハウがぎっしりです。

中身はお読みいただくとして,1箇所だけ引用します。

「僕は自分が「オモシロイ!」と思った漫才師の漫才を,片っ端からカセット・テープに録音していきました。その頃は,録音機材といったら大きなラジカセしかなかったから,それをテレビの前に置いてね。劇場まで持って行ったこともありました。…そうやって録音した漫才を,今度は繰り返し再生して紙に書き出していく。書き出すことで,なぜ「オモシロイ!」のかが段々とわかってきたんです。そして,教科書が出来上がった時,僕は相方を捜し始めました。」(12頁)

わたしは「弁護士が書いた究極の勉強法」で,

「写経」(書き写すこと)がよいと書きました。やはり、

物事の習得には徹底した「写経」が必要だと思います。

著名人のエピソードと哲学。

それだけでもオモシロイですが,

本書はほとんどのページに蛍光ペンを引きたくなるほど,

濃いノウハウが凝縮されています。

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法律の条文にある「準ずるもの」とは?(その2)

「準ずる(もの)」という条文の定めは,比較的多くあります。

訴訟で問題になったものだけでも,次のようなものがあります。

①所得税法161条6号

「貸付金(これに準ずるものを含む)」

②法人税・租税特別措置法66条の4第2項1号二

「イからハまでに掲げる方法に準ずる方法」

③地方自治法238条1項4号

「地上権,地役権,鉱業権その他これらに準ずる権利」

④金融機関等不正防止法施行規則2条10号ロ

「破産管財人又はこれに準ずる者」

このように,訴訟で「準ずる」の範囲が争いになるのは,

結局のところ,「準ずる(もの)」がどこまでを指しているかが,

その文言からだけでは不明確だからです。

もっとも,「準ずる」というのは,あくまで類似のもの同質のもの

だと解されており,その性質が似ているものに限られます。

そこで,訴訟で争いになった上記の例などでは,

「準ずる(もの)」の範囲を限定して解釈するものがほとんどです。

条文の文言を,本来の意味より拡張して解釈する手法を,

「拡張解釈」であるとか「拡大解釈」と呼びますが,

こうした解釈はとるべきでないとするのが判例の趨勢です。

次回は,個々の判例を具体的にみていきたいと思います。

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