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2012年1月

新司法試験の合格体験記(新刊)

今年で4年目になりますが,わたしが監修とまえがきを

書かせていただいている,法学書院さん出版の

「新司法試験の合格体験記」の最新版が発売されます。

今年は,既修者編と未修者編にわかれており,

それぞれの立場からの勉強法を知ることができます。

「新司法試験 合格者に学ぶ勉強法 既修者編」

http://www.hougakushoin.co.jp/book/b99429.html

http://www.amazon.co.jp/dp/4587232882

「新司法試験 合格者に学ぶ勉強法 未修者編」

http://www.hougakushoin.co.jp/book/b99428.html

http://www.amazon.co.jp/dp/4587232890

合格体験記を読み込むことで,

試験で何が求められているかを知ることができます。

司法試験を受けられる方は,

ぜひ「合格者の共通項」を分析してみてください。

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養老保険の会社負担分を一時所得から控除できないとされた最高裁判決について(加算税)

先日記事を書きました,養老保険最高裁判決については,

差戻し部分もありました。

過少申告加算税の賦課決定処分について,

これを賦課すべきでない「正当な理由」(通則法65条4項)が

あるか否かについては,差戻審で判断を行うべきとのこと。

かつて,わたしが担当したストック・オプション事件で,

最高裁が「正当な理由」を認めた例がありますが,

この平成18年判決は,様々な諸事情(特殊事情)から,

一時所得で申告したことについて,やむを得ない事情があると

認定し,賦課決定処分を取り消しました。

養老保険事件の場合には,控訴審判決も指摘したように,

通達の規定(所得税基本通達34-4)があり,これを素直に

読む限りは会社負担の部分も控除できるとの解釈でした。

最高裁は,通達ではなく,法令である所得税法34条2項の

解釈を全面に押し出していますので(ある意味正しいです),

下位規範である上記通達の読み方を問題にすることはなく,

34条2項の解釈として,自己負担部分に限るという結論を

出しています。

しかし納税者の立場からすると,通達の定めを読む限り,

会社負担分についても控除できると読めるのであれば,

それに従って行った申告について,ペナルティとしての

過少申告加算税まで賦課すべきではない(それは酷だ),

という議論があるかと思います。

今後の差戻審での「正当な理由」の判断が注目されます。

【税務訴訟の書籍(拙著)のご案内】

「租税法重要「規範」ノート」(弘文堂)http://t.co/hl4kx4FT

税務訴訟の法律実務」(弘文堂)

小説で読む行政事件訴訟法」(法学書院)

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連載「判決を読もう!裁判記録から学ぶ税務訴訟の基礎(第2回)」(税理2月号)

「月刊税理」(ぎょうせい)2月号に,
連載記事「判決を読もう!裁判記録から学ぶ税務訴訟の基礎」
第2回が掲載されました。
今月は「判決主文の意味を学ぶ①~第一審判決」です。
武富士事件,レポ事件など,
4つの税務訴訟の判決主文を素材にしています。

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養老保険の会社負担分を一時所得から控除できないとされた最高裁判決について

福岡地裁および福岡高裁で,納税者勝訴の判決がでており,

近年,下級審判決としては話題になっていた養老保険事件の

最高裁判決が出ました。

最高裁第二小法廷平成24年1月13日判決です(裁判所HP)。

第1審,控訴審と異なり,逆転で国側が勝訴となりました。

所得税法34条2項は,一時所得から控除できる費用について,

「その収入を得るために支出した金額」とあるだけで,

本人が負担した保険金に限るという文言はないため,

法人が負担した保険金でもこれにあたり控除できる,

というのが第1審および控訴審の考え方でした。

最高裁判決は,この条文は,「当該収入を得た個人において

自ら負担して支出したものといえる場合でなければならない」

と判示しました。

ごくふつうに条文を読む限りは素直な解釈であると思います。

また,原判決(福岡高裁)は,通達(所得税基本通達34-4)を

法律に準じて「租税法律主義」(課税要件明確主義)を適用して

いましたが,本来的には「法律」である所得税法34条2項の

文言を租税法律主義に沿って解釈すべきことになります。

なかなか画期的な判断で福岡高裁の論理もよかったのですが,

本件については所得税法34条2項の解釈として拡張とまでは

いえないでしょうし,法人税でも損金算入でき,所得税でも

経費として控除できるという結論の問題点もあったため,

このような最高裁の結論が出されたことは,武富士判決を下した

最高裁第1小法廷としても,ありの考えだったのかもしれません。

須藤裁判官の補足意見も勉強になります。

同裁判官は税務案件で補足意見をたくさん書かれていますが,

このような説明があると,納税者にとっても,実務家にとっても,

研究者にとっても,判決を読む手がかりが増えるため,

ありがたいことだと思います。

本件は,下級審と最高裁で判断が分かれるほど,

法解釈についてむずかしい問題が呈された事件ですが,

租税法律主義とは何かを改めて考えさせられました。

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Wednesday READING-No.103-文章術①石黒圭「文章は接続詞で決まる」(光文社新書)

石黒圭「文章は接続詞で決まる」(光文社新書)

http://www.amazon.co.jp/dp/433403473X

世の中には文章の書き方の本がたくさんある。

本書はなかでも「接続詞」に着目した本である。

文芸・小説の世界では、接続詞はできるかぎり

つかわないことが求められている。

実際にも多くの作家・文豪が小説作法などの

本のなかで、接続詞はできるかぎり削るべきと

指摘をしている。

しかし逆に司法試験の論文試験や、法律家が

書く文章などでは、接続詞は重宝されている。

法律系の文章にかぎらず、論理的な筋道が

求められる文章では、接続詞が武器になる。

すばやく読んで情報をつかみたい読み手には,

どのよう流れで文章が書かれているかを,

接続詞をみるだけで予測できるからである。

本書ではこうした「読み手のもの」として機能

する接続詞にとどまらず,「書き手のもの」と

しての機能する接続詞など,さまざまな役割

と意義が検証されており,勉強になる。

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