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2012年2月

Wednesday READING-No.107-文章術⑤齋藤孝「誰も教えてくれない人を動かす文章術」(講談社新書)

○齋藤孝「誰も教えてくれない人を動かす文章術」

http://www.amazon.co.jp/dp/4062880830

テレビの報道番組などでもお馴染みの,明治大学教授であり,

ベストセラー作家でもある齋藤孝先生が書かれた文章術。

本書では,むずかしいことや,技術的過ぎることについては,

それほど細かくは触れられていない。初学者向けともいえる。

軽妙なタッチの読み物を読んでいくうちに,文章の書き方の

発想やヒントが自然とおりてくるように工夫がされている。

他の文章術の本と異なり,文章を書くために身につけるべき

教養や柔軟な思考,そのためにすべき大量の読書などにも

触れられており,話すことと書くこととの違いにも論及がある。

「文章の中に,キラリと光る部分が必要です。」(118頁)

「気づきの瞬間,意味が生まれた瞬間とは祝福すべきもの

です。」(131頁)

など,文章を書くこと,その内容を考えることの「楽しさ」を

改めて再認識させてもらえる,読みやすい文章発想術である。

その意味で,上級者にも,おすすめである。

【関連書籍等】

○「センスのよい法律文章の書き方」(中央経済社)

 http://www.amazon.co.jp/dp/4502051608

→立ち読みが,中央経済社さんのHPでできます↓

 http://www.biz-book.jp/books/detail/978-4-502-05160-9

○「弁護士が書いた究極の文章術 」(法学書院)

○「もっと論理的な文章を書く」(実務教育出版)

 http://www.amazon.co.jp/dp/4788907968

○「文章学」(JTB西日本コラム・取材インタビュー)

 http://www.jtb.co.jp/group-w/column/07.asp

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Wednesday READING-No.106-文章術④スティーブン・D・スターク著=小倉京子訳「訴訟に勝つ実践的文章術」(日本評論社)

○スティーブン・D・スターク著=小倉京子訳

 「訴訟に勝つ実践的文章術」

http://www.amazon.co.jp/dp/4535516669

本書は,センセーショナルなタイトルの翻訳本だが,読みやすく,

訴訟技術としても文章技術としても役立つ視点がある。

著者は,ジミー・カーター元大統領の補佐官も務め,

訴訟弁護士として活躍し,全米の弁護士,裁判官,ビジネス・

パーソン,公務員向けにライティングやスピーキングのセミナー

を主催されている,と著者紹介に書かれている。

日本と法制度や裁判制度が同じではないアメリカの訴訟での

文章技術の本だが,アイデアや視点として読むと,

なるほどと思うことが随所にみられる。

たとえば「優れた編集者は,特に読み手が専門家でない場合

には,専門用語を取り除いていきます。税金に関する準備書

面を書くとき,税務の専門家がいない一般事件を扱う裁判所

に提出するものと,地元の税務委員会やワシントンDCの連

邦税務裁判所に提出するものとでは,たとえ論点が同じであ

っても違った書き方をすべき」とある(076頁)。

文章は読み手のためにある,ことを示した具体例といえる。

もちろん,日本の税務訴訟では,行政部でない裁判所だとし

ても「専門用語を取り除いて」準備書面を書くことはできないが,

どのような書き方をすべきか,という点に示唆があると思う。

【関連書籍】

○「センスのよい法律文章の書き方」(中央経済社)

  http://www.amazon.co.jp/dp/4502051608

○「弁護士が書いた究極の文章術 」(法学書院)

○「もっと論理的な文章を書く」(実務教育出版)

  http://www.amazon.co.jp/dp/4788907968

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新刊「センスのよい法律文章の書き方」(中央経済社)

2月8日に新刊が発売されました。

「センスのよい法律文章の書き方」(中央経済社)

 http://www.amazon.co.jp/dp/4502051608

これまで,一般的に国税を被告にするため,

勝訴判決を得ることがむずかしいといわれており,

納税者の勝訴率もここ2年は10%を割っている,

いわゆる税務訴訟において,どのような観点から,

どのような言葉を使い,どのように表現をすることが,

伝わる書面になるのかなどを,自分なりに研究してきました。

その視点を,読者の方がお読みいただいたときに,

ご自身で書面を書く際のアイデアやヒントになるよう,また,

「読み物」として気軽にパラパラめくっていただけるよう,

整理をし,まとめた1冊です。

どのように読むかという本ではありませんので,

どのように使うか,どのように役立てるか,という視点で,

雰囲気を感じ取っていただき,

仕事で書く文章にも創意工夫や楽しみの余地があることを,

知っていただけたら嬉しく思います。

大学生や法科大学院生の方にも,実務で書く文章の視点は,

答案を書く際のヒントになると思います。

イラストもあり2色刷り,横書きで,いわゆる法律書に比べ,

リーダビリティが高度に上がるよう,作りました。

本書は,中央経済社さんのHPで,立ち読みができます。

 http://www.biz-book.jp/books/detail/978-4-502-05160-9

【関連書籍】

○「弁護士が書いた究極の文章術 」(法学書院)

○「もっと論理的な文章を書く」(実務教育出版)

 http://www.amazon.co.jp/dp/4788907968

【インタビュー・DVD講座】

○「文章下手で損してませんか」(日本経済新聞 )

 http://s.nikkei.com/vDSkyU

○「文章学」(JTB西日本コラム・取材インタビュー)

 http://www.jtb.co.jp/group-w/column/07.asp

○「もっと論理的な文章を書く講座」(DVD講座)

 http://www.lec.co.jp/issue/kouza/

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Wednesday READING-No.105-文章術③田中豊「法律文書作成の基本」(日本評論社)

○田中豊「法律文書作成の基本」日本評論社

http://www.amazon.co.jp/dp/4535518181

「法律実務家,ロー・スクール生のための日本で初めての

本格的な「書き方」のテキスト」と,帯に書かれている。

441ページの大著で,まさに日本初の本格的な,

法律文書の書き方のテキストだと思う。読みやすい横書き

だがボリュームがあり本格書として辞書的にも読める。

著者の田中豊氏は,最高裁調査官で民事事件を担当され,

司法研修所の教官(民事裁判),民法,民事訴訟法の

司法試験考査委員もされた元裁判官である。

実務家にとっては,訴状,答弁書,準備書面,控訴状,

控訴理由書,上告状,上告受理申立書,上告理由書,

上告受理申立理由書にいたるまで,民事訴訟に関する

書面について,詳しく留意点が書かれているため,

書面の作成前に該当箇所にあたるという使い方ができる。

第1章では「法律文書作成の基本5段階」,第2章では

「日本の法と裁判手続の構造」など,これから法律家を

目指す人が勉強すべき点について解説がされている。

契約書についても,第6章で解説がされているため,

法律家を目指す人,法律家,法務に携わる人など,

法律に関係する,さまざまなタイプの人にたよりになる

1冊である。裁判官の視点で留意事項が書かれている

点で,弁護士,実務家は,通読はむずかしいとしても,

ななめ読みをしてゴシックの部分だけでも目を通すと,

相当程度,意識が高まる本になるだろう。

たとえば,上告について「上告理由書又は上告受理

申立書という書面が決定的に重要であり,これらを

どれだけ説得的に作成することができるかが訴訟代理人

である法律実務家の腕のみせどころです。」などとある

(233頁)。書面作成上のアドバイスを裁判官から聞く機会は,

実務家にはなかなかないため,こうしたアドバイス部分が

特にヒントになると思われる。客観的な解説をした形式の

なかに,さらりと,アドバイス部分が隠れているので,

裁判官の思考を知るための手がかりになる1冊だと思う。

【関連書籍等】

○「センスのよい法律文章の書き方」(中央経済社)

 http://www.amazon.co.jp/dp/4502051608

→立ち読みが,中央経済社さんのHPでできます↓

 http://www.biz-book.jp/books/detail/978-4-502-05160-9

○「弁護士が書いた究極の文章術 」(法学書院)

○「もっと論理的な文章を書く」(実務教育出版)

 http://www.amazon.co.jp/dp/4788907968

○「文章学」(JTB西日本コラム・取材インタビュー)

 http://www.jtb.co.jp/group-w/column/07.asp

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養老保険の会社負担分を一時所得から控除できないとされた最高裁判決について(加算税2)

養老保険事件では,2つの最高裁判決が下されました。

前回は,最高裁第二小法廷平成24年1月13日判決について

コメントを掲載しましたが,その後にもう1つの最高裁判決が

出ていたため,補足をいたします。

もう1つの判決(最高裁第一小法廷平成24年1月16日判決)

では,「正当な理由」を認めて過少申告加算税賦課決定処分

の取消しを認めた原審の判断に「判決に影響を及ぼすことが

明らかな法令の違反がある」として,差戻しをしています。

その論旨は,「通達は法令の解釈に即して意味内容が確定

されるべき」ということであり,「課税実務上の運用や税務

当局ないしその関係者の示した見解の有無などの点について

十分な審理」がなかったことを挙げています。

この論旨からすると,加算税についても厳しい判断が予想

されますが,「正当な理由」について,裁判所は,相当に

厳しい態度をもってみていることがわかります。

同判決の判決理由を読んでいると,税務当局の見解や

運用,控除できるとする見解の相応性などが検討されている

ようにも読めます。この点は,最高裁が「正当な理由」を

認めたストック・オプション事件(最高裁第三小法廷平成18

年10月24日判決)と似たような検討になっていますが,

事案の異なる本件において,同じ検討要素でよかったのか

疑問なしとはいえません。法人負担分についても控除できる

と通達から読み込んで結論を出した福岡地裁及び福岡高裁

の裁判官の思考過程が存在していることを考えると,

納税者がそのように読み解釈することは責められるのか,

という観点もあるように思うからです。

いずれにしても例外論である「正当な理由」は,よほどの

ことがないかぎりなかなか認めてもらうことができない傾向

に,まだ変更はないといえそうです。

もっとも,「正当な理由」の有無については自判してもよい

はずのところ,あえて差戻しをしています。

「課税実務上の運用や税務当局ないしその関係者が示し

た見解の有無などの点について十分に審理することなく」

「正当な理由」を認めた原審に違法があるとしています。

この点を,納税者が差戻審でどれだけ立証できるかが,

今後のポイントになってくると思います。

【税務訴訟の書籍(拙著)のご案内】

「租税法重要「規範」ノート」(弘文堂)http://t.co/hl4kx4FT

税務訴訟の法律実務」(弘文堂)

小説で読む行政事件訴訟法」(法学書院)

○新刊「センスのよい法律文章の書き方」(中央経済社)

 2月8日発売予定http://www.amazon.co.jp/dp/4502051608

→立ち読みが,中央経済社さんのHPでできます↓

 http://www.biz-book.jp/books/detail/978-4-502-05160-9

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Wednesday READING-No.104-文章術②近江幸治「学術論文の作法ー〔付〕小論文・答案の書き方」(成文堂)

民法学者としてご高名な近江幸治先生が執筆されている

学術論文の書き方に関する本が,昨年末に発売された。

毎月いただいている「受験新報」(法学書院)に掲載されて

いた広告で,その存在を知り,すぐに購入をした。

http://www.amazon.co.jp/dp/4792326141

文章の書き方に関するセミナーをしたり,

本の執筆をする機会が最近多いため,文章系の書籍は,

ひととおり目を通しておくようにしていることもあるが,

最近は法科大学院の紀要に論文を掲載する機会もあるため,

個人的に,法律系の論文の書き方のルールに関心があった。

全体的に,非常にスリムに絞られた本である(136頁)。

必要なことが,詳しく,かつ,コンパクトにまとめられている。

「引用のルール」などについても,その根拠もふまえて,

詳細な説明がされており,何らかの執筆をする機会が

ある方や,ブログを含め,文章を書く機会がある方であれば

その部分だけでも,勉強になり,参考になるであろう。

答案の書き方についてもご示唆があり,法科大学院生や

法学部生,法律系の資格試験を受験される方には,

勉強になるはずの部分があるため,ご紹介をさせていただく。

「何が問われているのかー問題点の正確な把握」について,

「出題者の意図を探ること」の重要性が説明されている。

そして,そのためには,問題の形式や文言等を注意深く

読むべきことが説かれている。

いわゆる「出題意図」「出題趣旨」と呼ばれるものだが,

多くの学生・受験生は,自分の勉強したことを書こうとして,

問題で聞かれていることを探る作業を怠りがちである。

点数で評価をされる論文式の問題では極めて重要である。

さらに,論理構成や,文章による表現の仕方についても,

大変参考になるご示唆が書かれている。

この章に割かれたボリュームは,71頁ー82頁であり,

わずか12ページだが,とりわけ司法試験受験生には,

論文(答案)の書き方として,大変参考になると思う。

コンパクトにまとめられた本なので,「短く書くこと」の

重要性やその表現方法を自然と体感できる本でもある。

【関連書籍等】

○新刊「センスのよい法律文章の書き方」(中央経済社)

 2月8日発売予定http://www.amazon.co.jp/dp/4502051608

○「文章学」(JTB西日本コラム・取材インタビュー)

 http://www.jtb.co.jp/group-w/column/07.asp

○「弁護士が書いた究極の文章術 」(法学書院)

○「もっと論理的な文章を書く」(実務教育出版)

 http://www.amazon.co.jp/dp/4788907968

○「勉強が続く人の45の習慣」(法学書院)

 http://www.jinjour.jp/column/27911.html

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